替え玉狂騒曲 (舞台用シナリオ)
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うちは大家族なんですからね。
お義父さんにお義母さん、私たち夫婦に娘が二人、
おまけに住み込みの付き人さん。
全部で七人よ、七人。買い出しから料理、
配膳から片づけまで全部私に押し付けといて……。
こっちの苦労も少しはわかってほしいもんだわ。
なに、お義母さんの分だけ小分けして味を変えろ?
ご冗談でしょ。今度からインスタントにしてやろうかしら。
まったく、我儘が過ぎるのよお義母さんは。
みんなの健康を考えて手間をかけて作ってるっていうのに。」
裕次郎、台本に目を落としたまま
まり子に背を向けるように座りなおす
まり子、裕次郎を一瞥すると
立ち上がり、テーブル周辺を片づけ始める
まり子 「あ、そうそう、あなた。ももこの彼氏のこと、知ってるでしょ?
会ったことあるわよね?」
裕次郎 「うん? うーん。ちらっとな」
まり子 「ももこったら、いつまであんなのと付き合うつもりかしら。
(言いながらソファに座る)
『ちわっす、そうっす、』って、すっすすっす、なにあれ。
ホント感じ悪いのよねー。
あんずも呆れてたわよ。
なんでお姉ちゃん、あんなチャラい男と付き合ってるのって。
高校中退のフリーターだなんて……
まったく……、あんなんじゃ先が見えてるわ。
そう言えばあの男、最近うちに姿を見せなくなったわね。
ひょっとして、もう別れたのかしら……。
だったらいいんだけど……。」
裕次郎 「うーん」
まり子 「ねぇ、それとなく、ももこの様子、
気にかけてやってよね、父親なんだから。」
裕次郎 「うーん」
まり子、立ち上がり
裕次郎から台本を奪い取る
まり子 「ちょっとあなた! 聞いてるの?
いま大事な話をしてるんですからね!」
裕次郎 「おいおい、台本返してくれよ。セリフ覚えてんだから。」
台本をソファに落とすまり子
裕次郎、台本を持ち直す
まり子 「あなたって、いっつもそう。仕事にかこつけて……。
私の話なんかこれっぽっちも聞いてないでしょ。」
裕次郎 「聞いてるよ。」
まり子 「うそ。面倒なことからは逃げてばっかり。
周囲のことにはまるで無関心なんだから。
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