替え玉狂騒曲 (舞台用シナリオ)
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それを手に、そそくさと廊下奥へ消える。
まり子 「洗面所にはコレが……。」
眼鏡を裕次郎にかざし
ローテーブルに置く、まり子
まり子 「ドア閉める時も、ばたーんて乱暴だしねぇ。
もぉー、お義父さんたら、やることなすこと粗野で
いやんなっちゃうわ。
あなたからも注意してよ。私が言うと角が立つから。
ほらっ、ここにも……。」
ソファの上に丸まった靴下をつまみ上げ、
顔をそむけるまり子。
裕次郎、台本を片手に茶を飲み
丁寧に湯呑をテーブルに戻す
そんな裕次郎の悠然とした動きを
ぼーっと眺めながら
まり子 「こんなに物静かで上品な人がこの家で育ったのが
フシギでしょうがない。」
首を傾げるまり子
そこへ、美智子が入ってくる
美智子 「まり子さん、この間頂いたお紅茶があるでしょ?
あれを淹れてくれない? 出来たら私の部屋までお願いね。
ああ、そうそう、さっきのお昼ご飯の味噌汁だけど、
具の切り方、あれなんなの?
煮付けの具みたいにゴロゴロ大きくて。
味付けもなんだか最近薄いし……、
あなた、それでよく料理上手で通ってるわね。」
まり子 「すみません、お義母さん。でも、あれはわざとそうしてるんです。
よく噛むと素材の味がよくわかりますし、体にもいいんですよ。
それに、お義父さんもこの人(裕次郎)も血圧が高めなので、
塩分も控え目にしてまして。」
美智子 「あーら、それなら、私用に鍋に小分けして
別に味つけすればいいだけのことでしょ。
まったく、ほんのひと手間をしぶるんだから、この人は……。
ああ、それとね、前にも言ったと思うけど、
私は白みそよりも合わせみそが好きなのよ。夕飯は合わせ味噌にしてね。
ところで、いま何時かしら?」
まり子 「(部屋の時計を見て)もうすぐ一時ですけど。」
美智子 「あらやだ、たまちゃんのラジオが始まっちゃうわ。
今日は私の大好きな純烈がゲストなのよ。
うふふ、楽しみだわ。
じゃ、お紅茶、お部屋までよろしくねっ。」
退室する美智子
ソファに座り込むまり子
まり子 「お義母さんたら、なにがひと手間よ。
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