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人理を守れ、エミヤさん!
運命を感じなくもないね士郎くん!
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忘れない」
「あ、あはは……やばい、この方の全開のイケ魂は私の天敵……! ワイルド肉食狩人系イケ魂でございましたか……! 死に瀕していた弱々しい魂が、快癒した事で生命力に溢れたギャップに、この良妻ともあろう者が、不覚にも心を狩られるところでございました……! これはもう呪相・玉天崩を放つしか!」

 みだりに女性の手を握り続けるわけにもいかない。感謝の念を出来る限り強く伝え、ネロの手を取る。同じように感謝した。

「ありがとう、ネロ。本当に助かった。玉藻の前を召喚してくれたお前も、俺の命の恩人だ」
「楽にせよ、シェロ。きっと神祖は、必要なのが自分ではなく、此度の招きに応じてくれたキャスターだと判断して繋げてくれたに相違あるまい。それに命の恩人というのは余にも言えた事だ。第二特異点のローマにて救われた恩……これで返した事にしてくれればそれでよい。気にするな」

 ああ、本当に得難い友人と出会えた。
 人理を巡る旅の途上でも、いい縁に巡り会えるのが救いだった。

 岸の方から声がした。ドレイクだ。出航するよ野郎共! ちんたらしてないでさっさとしな! 勇ましい海賊の、ヤケクソ気味な閧の声もする。どうやら無事に焚き付けられたらしい。それもひとえにドレイクへの信頼があるから出来た事なのだろう。

 俺は苦笑する。そして俺達は黒髭の宝具である『アン女王の復讐号(クイーンアンズ・リベンジ)』へと乗り込んだ。目的を探すのが目的の、宛のない航海のはじまりだ。
 ふと閃いて、俺は嗤う。あのヘラクレス野郎をぶちのめす奇策が。ネロと会話している玉藻の前に頼めばやれるはずだ。彼女は呪術の使い手なのだから。

「――にしても、まさか生前のネロさんと主従になるだなんて、この海の狐の目を以てしても見抜けませんでしたよ」
「うむ。そなたは英霊の余と会った事があるのだったな? どんな経緯であれ、余がローマ皇帝として英霊に名を列ねているのは安心できる。余はこうしてカルデアにいるが、余の成した事が後世に繋がっているのだからな……」
「というより私からしてみたら、特異点から別の時間軸にマスターとして引き抜かれるだなんて、聖杯の力業と言っても無茶苦茶じゃないです? そこんところ悔いとか、恨み節とかないんですか?」
「ない。サーヴァントの余には興味はあるが、カルデアの余とは起源を同じくするだけの別人だ。それにカルデアが来ねば、そもそも余は死んでいたし……来ても来なくとも、あの特異点でのローマは滅んでいた。謂わば余は帰る国のない亡国の皇帝だ。今後はそのつもりで接するがよい、キャス狐よ」
「……はい。それもまた是です。ネロさんが手強い恋敵ではないというのも些か寂しくもあり嬉しくもあり……広い世界です、そういう事もあるのでしょう。ご主人様との事がないから、いい友人にな
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