暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
運命を感じなくもないね士郎くん!
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絶してくれる人がいるってのに、何を格好良く死のうとしてるんだ俺は。
 俺は萎えた脚を殴り付け、キャスターの前まで行くと深く頭を下ろす。オルタにだけ頭を下げさせる訳にはいかない。

「出会い頭ですまん。後生だ、治してくれ。俺はまだ、死ぬわけにはいかない……!」
「むむむ……もしかして私、とんでもなくナイスなタイミングで召喚されちゃいました? 流石は私、イケ魂を救う宿命を常に負う良妻狐! もちろん構いません、対価も結構。義を見てせざるは愛なきなり。水天日光の真価、出血大サービスでお見せしましょう!」

 と、言うわけで。コホンと咳払いをした玉藻の前は厳粛な面持ちで宝具を開帳した。
 神前で神楽を舞う巫女の如き貞淑さと神聖さを醸し出し――謳うは神宝、その祝詞。膨大な魔力反応が辺り一帯を照らし出す。

「ちょっと神様っぽいところ、見せちゃおっと。掴みの第一印象実際大事! ではでは――軒轅陵墓(けんえんりょうぼ)、冥府より尽きる事なく。出雲に神在り。審美確かに(たま)に息吹を、山河水天(さんがすいてん)天照(アマテラス)。これ自在にして禊ぎの証、名を玉藻鎮石(たまものしずいし)神宝宇迦之鏡(しんぽううかのかがみ)なり――! なぁんちゃって☆」

 彼女の周囲を浮遊していた鏡が俺の姿を照らし出す。その水天の照り返す日光を満身に浴びた。
 ちろりと舌先を出して、てへっと茶目っ気を見せる彼女のノリの軽さは、まさに日輪のように明るかった。













 宝具『水天日光天照八野鎮石(すいてんにっこうあまてらすやのしずいし)』。

 宝具としてのランクは、本来の玉藻の前なら評価規格外だが、サーヴァントの玉藻の前ではDランクが精々らしい。種別は対軍だという。
 その由来は天照の天岩戸の逸話で登場する八咫鏡。鏡の形をした宝具で、出雲にて祀られていた神宝にして出雲大神の神体だ。
 この宝具は『魂と生命力を活性化させる』力を持つ。本来は死者すら蘇らせる事すら出来る、冥界の力を秘めた神宝中の神宝だが、一尾でしかない今の玉藻の前では真の力は引き出せない。

 だが――それがどうしたというのか。

「は……ははは! はははは! 治った、治ったぞ……!」

 腹の底の底、沈澱していた澱みが一掃され、一気に虫食い状態だった魂が修復されていく実感に高揚する。

「うおっ、眩しっ!?」

 喩えるなら電撃に打たれた瞬間、見事に蘇生した末期患者だ。何もかもへの気力が萎えていたのが、今に走り出してしまいたくなる元気を注入された気分である。
 何故か玉藻の前は腕を翳して、和服の裾で目を隠していたのに構わずその手を取る。

「――ありがとう。君と、君を召喚したネロは命の恩人だ。この恩は決して
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