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人理を守れ、エミヤさん!
戦慄の出会いだね士郎くん!
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じゃないか、英雄殺し! 手ぇ貸すよ。腕と目、アタシの部下の命に船の補修! 力を貸したって天秤はそっちに傾いてる。事が終わったら胡椒の入った瓶一つで、アンタの言う聖杯とやらもくれてやらぁ!」

 お前の部下は怖じ気づいてるぞ。なんせそのヘラクレス野郎の力を間近で見てる。ビビった兵は戦いの役に立たないが。

「はっ。心配しなさんな、アタシが気合い入れてやるからね。仮にもこのアタシの部下なんだよ? もし尻尾丸めてたらキンタマ潰してやるさ」

 ……お手柔らかに。ああ、天下のドレイク船長が味方してくれるんなら百人力だ。

「いいって事さね。元々こいつはアタシの戦いでもあるんだ。命に砲弾――勝つも負けるも、派手に使い切るまでさ」

 そう言って、後の太陽を落とした女は莞爾とした笑みを浮かべたのだった。
















 敵戦力の総体は未知数。判明している敵は『復讐者』へ霊基を変じたアルケイデスに、『兜輝く(クラノス・ランプスィ)』の異名を持つ九大英霊の一角、ヘクトール。
 この二騎だけでもかなりの難敵だ。アルケイデスは言うに及ばず、ヘクトールもアルトリアに匹敵する強敵である。厄介なのは、ヘクトールがかなりの切れ者で、防戦に関しては最高峰の手腕を逸話上持っている事だ。
 知名度も決してヘラクレスに負けていない。トランプのダイヤのジャックがヘクトールだと言えば、どれほどの知名度かは容易に想像できよう。

 ――敵はアルケイデスを通して、こちらの陣容を把握している。切嗣がカルデアで再召喚されるには、まだ時が掛かるだろう。敵の予測を上回るには、新たに陣容の厚みを増す必要があった。
 故にネロだ。彼女には新規にサーヴァントを召喚してもらう。切り札となるかは分からないが、強力なサーヴァントが戦線に加わってもらえれば先の一戦時に隠れた黒髭とも合わさり、切り札に成り得るのだ。

「という……訳だ。頼むぞ」
「うむ、任せよ! ――(いで)よ神祖ロムルス! 余の声を聞き届け、いざ人理を救う戦に出陣願う! 神祖! 神祖! 神祖! 伯父上は座っててネ! はぁあぁあ――ッッッ!」

 マシュの楯を基点に設置された召喚サークルを前に、ネロは凄まじい熱気で気合いを叫んだ。
 うん、気持ちは分かる。神祖が来てくれたらもう勝ったと慢心出来るレベルだ。海の下から樹木を召喚して足場にするとか、そんな桁外れの真似だってやってのけるかもしれない。そうなったら海上での戦闘でもやり易くなる。
 だが余りに暑苦しい呼び掛けだ。そんなに叫ぶ必要なんかないのだが。マシュも苦笑している。
 召喚に使う魔力リソースは、レオナルド謹製の呼符である。いつもの如く奴の工房からくすねて来た。カルデアの向こうで『またなのかい士郎くん
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