「健在なのは」
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。ああ、俺だって無駄に死にたくなんてない。後三回の戦いの後は、大人しく帰還する。それは約束するさ」
三回。何を以て三回だと決めたのか。
士郎は左手首に巻き付けてあるカルデアの通信機に向けて、己の所感を述べた。
「アグラヴェイン、レオナルド。俺の考えを伝えておく。恐らくだが……あのクソッタレのヘラクレス野郎は、近い内にまた仕掛けて来る」
『……根拠は』
「分かってるはずだ。奴の主観で考えると自明だろう。カルデアのマスターを消耗させ、サーヴァントを一騎脱落させてある。だが躰を蝕んだ、ヒュドラの毒をも癒したアイリさんの存在を視ているから、俺を回復させてしまう可能性がある。一度は撃退されたが、時を置けば折角のアドバンテージが無くなるかもしれない。奴はそう考え、警戒されているのは承知の上で仕掛けて来る」
道理である。レオナルドやアグラヴェインには言うまでもない。それでも訊ねたのは……今の士郎に、それが気づけるか試したのだ。
結果が示すのは如何に気が萎えていようと、曇らない洞察力の切れ味。気づかないようであればそれを口実に、無理矢理にでも帰還させるつもりだっただけに、一概に良い事とは言えなかった。
――どのみち一度目のアルケイデスの奇襲は痛み分けに近い。二度も三度も同じ手が通じるとは思わないはずだ。
ならば今度は更に強力に襲撃し、なんらかの決定打を決めたいのが敵の心情。アルケイデスの召喚者が誰で、敵の残存数は何騎かも不明なあちらと異なり、こちらの実情は割れている。警戒していても不利なのはカルデアなのだ。その優位を活かさないでどうする。
そしてこちらの陣容の厚さから、次からは奇襲だろうが正攻法だろうが結果は同じになると判断できる。ならアルケイデスとしては士郎が回復する前に決着を付けた方がいい。
「……正念場、か」
幾度も体験してきたそれは、しかし今回がとびきりのものであると感じた。それは気弱な囁きである。士郎は自身の手をマシュが握っている事に気づかないまま、ふと呟く。
「……で、お前はさっき、どこ行ってやがった。――黒髭」
森の茂みが、がさりと鳴る。隠れていたつもりなのだろうが、マシュやアルトリア達には筒抜けだった。彼女達の視線の向き先に違和感があったから、士郎は潜んでいる者にあたりを付けて呼び掛けたに過ぎない。
潔く茂みから出てきたのは、やはり黒髭の大男である。躰についた葉やら枝やらを払い落とし、黒髭はにぱっ、と笑みを浮かべる。
「デュフフ、気づかれてしまいましたな」
「俺は気づかなかった。ま、今の俺にお前の隠密を悟れる余裕はないが」
「いやぁ、両手に華どころか一輪余っておりますぞ。実に羨ましい限りwww ちょっと拙者と代わって欲しいですなリア充めwww」
「さっきの戦闘、
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