第三章
[8]前話
「そなた達を一つの部族にしよう」
「一つですか」
「我等をですか」
「そうされるのですか」
「まずはそれぞれの部族に戦士、賢者、弁士、漁師、農民の役割を授ける」
そうするというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですか」
「我々にその役割で働いてもらい」
「そしてですね」
「一つにですね」
「する、その部族の名をイロコイとする」
僕の名も定めた。
「そしてだ」
「これよりですね」
「我等はそれぞれの役割を果たし」
「イロコイとして戦う」
「そうするのですね」
「そうするのだ」
こう答えてだった、ハイアワサは五つの部族の者達を一つにしたうえで北の部族と戦った。するとだった。
五つの部族は一つとなりそれぞれの務めを充分に果たして戦った、そうして北の部族を散々に破り追い出した。
その後でイロコイの者達は彼に言った。
「これからも我等と共にいて下さい」
「そしてお導き下さい」
「イロコイの永遠の酋長としてです」
「そうされて下さい」
「私もそうしたいが無理だ」
ハイアワサはイロコイに者達に申し訳のない顔で答えた。
「人は死ぬな」
「ですが貴方は神でもあられます」
「神は永遠に生きられますが」
「それが出来る筈ですが」
「そうだが身体は死ぬ」
そうなってしまうというのだ。
「だから永遠は無理だ、だから少し去ろう」
「暫しですか」
「そうされますか」
「私はまた戻って来る、だが今は死ぬ」
イロコイの者達にこのことを話した。
「川を作る者は川の中で死ぬべきだ」
「ではこれからですか」
「川に入られるのですか」
「そうされますか」
「そうする、ではな」
こう言ってだ、ハイアワサは白い魔法のカヌーを出してそれに乗りイロコイ族の者達と別れた、そうして一度肉体は死んだ。
だが彼はそれからもイロコイの者達を神として見守り導いた、その結果イロコイ族は最強にして聡明な部族として広い土地を治めていった。ネイティブアメリカンの歴史に伝わる伝承の一つである。
偉大な統一者 完
2019・1・12
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ