第二章
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「だから悪龍だ」
「聞き捨てならぬ、我が悪龍だと」
川から巨大な闇の色の龍が姿を現した、その巨大さたるや相当なもので人間にして子供位の大きさの太子の何百倍もありそうだ。しかし太子はその龍を前にしても全く動じた様子はない。
そしてだ、その龍に顔を向けて言うのだった。
「さっき言った通りだ、天帝から御前をやっつけろと言われている」
「それで我を倒すのか」
「その為に僕はここに来たんだからな」
「子供がか」
「姿は子供でも甘く見るなよ」
これが太子の返事だった。
「僕は凄く強いんだからな」
「御前なぞ一口にしてくれるわ」
「やれるものならやってみろ」
こう言ってだ、そのうえでだった。
まず己の顔の横に左右一つずつ顔を出した、それから腕をさらに六本合わせて八本出した。二本の腕に槍を持ち。
残る六本の腕にそれぞれ斬妖剣、?妖刀縛、妖索、降妖杵、綉毬、火輪の六つを出した。そしてその合わせて七つの武器を手に悪龍に空を飛んで向かい。
己の数百倍もの大きさの龍と激しい立ち回りに入った、龍は巨体だけでなく口から様々なものを吐き嵐や津波、雷等を操り太子を攻撃した。しかし太子は小さな身体で龍が繰り出すあらゆる攻撃を空を飛びつつかわし。
龍に隙を見て一撃を加えていき遂には倒した、悪龍は動けなくなりその巨体を川の中に落とした。だが声は川の上空にいる太子に悪びれずに言ってきた。
「これで終わりと思うな」
「うん、まだやる気だよね」
「当然だ、この度は敗れたが」
それでもというのだ。
「我は生きている、生きている限りだ」
「ここでやりたい放題をするんだね」
「そうしてやる、見ておれ」
「そう言うと思ってたよ、じゃあね」
太子はもう元の顔が一つ腕が二本の普通の子供の姿に戻っている。だがそれでも油断していない顔で言うのだった。
「万歳翁のもう一つのお言葉を伝えるよ」
「何だ」
「万歳翁は言われたよ」
天帝はというのだ、地上の皇帝も同じだがその尊称は万歳翁というのだ。
「僕にこの地を任せるってね」
「何っ、ではか」
「君とずっと対していくから」
自分に敗れ今は力をなくしている悪龍への言葉だ。
「宜しくね」
「ふん、この度は敗れたがな」
「それでもっていうんだね」
「貴様がどれだけ強かろうが我はまた力を取り戻す」
「そうしてっていうんだ」
「この地を思うがままにしてやる」
太子に川の中から呪詛の言葉を述べた、そしてだった。
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