第六章
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「これよりな」
「そうすればですね」
「そなた達は無事にエジプトを出られる」
「アッラーが申されたならだ」
ハールーンもムーサーに言ってきた。
「最早だ」
「真実ですね」
「アッラーのお言葉に誤りはない」
ハールーンは言い切った。
「だからだ」
「迷う必要はありませんね」
「そうだ、では弟よ」
「これより」
「そなたが持っている杖で海を叩くのだ」
「そうします」
ムーサーはハールーンの言葉にも勇気付けられた、そうしてだった。
彼はその手にある杖で海を叩いた、すると瞬く間に。
海が真っ二つに開いた、このことにムスリム達もユダヤ人達も驚き口々に叫んだ。
「海が割れたぞ!」
「奇跡が起こったぞ!」
「アッラーの奇跡だ!」
「アッラーの奇跡が起こったぞ!」
「よし、皆割れた海を進もう」
ハールーンが即座に言った。
「海は割れて今は道が出来ているからな」
「はい、すぐにですね」
「この割れた海を渡り」
「そのうえで逃れればいいですね」
「エジプトを」
「そうだ、今のうちだ」
「その通りだ」
杖を持つ当のムーサーも応えた。
「ではな」
「行きましょう」
皆ムーサーそしてハールーンに従った、そうしてだった。
彼等は割った海を進んでいった、そのうえで。
海の向こうに行った、そこにエジプト軍が迫ったがここで海は元に戻ってしまいエジプト軍は追うことが出来なかった。
その状況を見てだった、フィルアウンも歯噛みして言った。
「真実だったのか」
「はい、あの者達の神の言うことは」
「真実だったのですね」
「アッラーは偉大である」
「そのことは」
「そうだな、では余もだ」
フィルアウンは海の向こうを進むムーサー達を見て言った。
「これよりアッラーを信じよう」
「ムスリムになられるのですね」
「これより」
「そうなられますか」
「これだけの奇跡を見たのだ」
それならばというのだ。
「そうならない筈がない」
「では我等も」
「これよりムスリムとなりましょう」
「アッラーの僕に」
「そうなりましょう」
エジプトの者達もムスリムになった、だがムーサーはこのことを知らず。
それでだ、荒野を進みつつ言うのだった。
「もうここまで来れば安心だが」
「それでもな」
「我々はエジプトに戻ってはならないですね」
「その通りだ」
ハールーンはムーサーに答えた。
「新たな地を目指すべきだ」
「それが筋ですね」
「これからも大変だが」
「アッラーのお言葉に従い」
「そのうえでな」
「この荒野を進むべきですね」
「その通りだ、では行こう」
「我等が住むべき地に」
兄弟はこう話してだ、ムスリムやユダヤ人達を約束の地に導いた。そうして二人は後に
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