第五章
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「この者達は」
「杖が我等を護ってくれたか」
「流石アッラーの杖ですね」
「何と、二人が寝ている時まで護るとは」
刺客達も妖術師達と同じく驚いた。
「恐ろしい杖だ」
「全くだ」
「この様な素晴らしい力があるとは」
「これがアッラーの力なのだな」
彼等もここでアッラーの力を感じ取った。それでだった。
刺客達もムスリムに改宗した、フィルアウンは竜まで送ったがムーサーの杖はその竜さえも倒しアッラーの僕とした。
エジプトの中に多くのムスリム達がいる様になりハールーンとムーサーは彼等の指導者となった。だがその彼等にだ。
フィルアウンは最後の手段として軍勢を送り彼等を皆殺しにすることにした、このことを知ってだった。
ハールーンはムーサーにこう言った。
「ムスリムも充分増えたしな」
「だからですね」
「ここは逃げよう」
「エジプトを出ますか」
「そうするとしよう、軍勢が相手ではな」
幾ら何でもというのだ。
「そなたの杖でも無理だ」
「そうですね、数が多過ぎます」
「同胞達とムスリムを連れてだ」
「エジプトを出ますか」
「そうしよう」
こう話してだ、二人はエジプトにいる全てのユダヤ人とムスリム達を連れてエジプトを出た、だが。
海岸に来たところでエジプトの軍勢に追い付かれた、この状況にムスリム達は覚悟を決めた。
「こうなっては仕方ない」
「戦って勝つか」
「そうして生き残るか」
「そうするしかないな」
「とはいってもだ」
ハールーンは覚悟を決めた彼等に現実を話した。
「我等の中に武器を持っている者は少ない」
「拳があります」
「そして足元には石があります」
「こうしたものを使って戦いましょう」
「そうしましょう」
「だがそれでも勝てない」
ハールーンはまた現実を指摘した。
「皆殺しになるぞ」
「案ずることはない」
ここで空からアッラーの声がしてきた。
「ムーサーの杖があるではないか」
「この杖で」
「そうだ、ムーサーよその杖で海を叩くのだ」
こうムーサーに言うのだった。
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