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プレスター=ジョン
第四章

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「これでは香辛料も手に入らない」
「高いがあれがないと肉は食えないぞ」
「胡椒は金持ちの宝だ」
「是非手に入れるべきだというのに」
「どうすればいい」
「このことも問題だ」
 彼等はトルコに完全に追い詰められていた、その時だった。
 またしてもだ、この国の話が出た。
「アフリカに偉大なキリスト教徒の国があるというぞ」
「どんな国だ?」
「一体どんな国だ」
「プレスター=ジョンの国だ」
 またしてもこの国の名前が出た。
「あの国があるらしいぞ」
「まさか実在するのか」
「またモンゴルの国ではないのか」
「恐ろしい猛獣の様な国ではないのか」
「サラセン人達よりも恐ろしい者達ではないのか」
 こう思う者がいた、だがその危惧は打ち消された。
「違うらしいぞ」
「今度は違うのか」
「まことにキリスト教徒の国か」
「そうなのか」
「そうらしい、そしてだ」
 誰とも知れず自然と話が出来ていっていた。
「アフリカで巨大な勢力を持っているそうだ」
「ではそこからサラセン人達を討とうとしているか」
「そうしようとしているか」
「我々を助けようとしているのか」
「そうしているのか」
「そうだ、今彼等はアフリカにいる」
 トルコがエジプトや北岸を掌握しているこの大陸にというのだ。
「彼等はそこにいるのだ」
「本当だと凄いな」
「是非手を結びたい」
「そしてトルコとあたりたい」
「今の状況はどうしようもない」
「何とかしなければならない状況だ」
 誰もが言う、そしてこの話を聞いたポルトガルのエンリケ王子は海を観つつ周りの者達にこんなことを言った。
「プレスター=ジョンの話だが」
「はい、まことならです」
「是非同盟を結びたいです」
「アフリカにいるといいますが」
「それならば」
「そうだ、何とかだ」
 こう言うのだった。
「その国に使者を送りたいな」
「トルコはアフリカも抑えています」
「その向こう側に行くのは難しいです」
「ですが何とかです」
「あちらに行きたいですね」
「そうだ、若しかするとだ」
 海を観つつだ、王子はこうも言った。
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