第三章
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「では言うまでもないな」
「うむ、ジンはいる」
「間違いなくな」
「この世に存在している」
「人間と同じ様に存在している」
「ペリと同じくな」
キリスト教で言う天使である、コーランには彼等のことも書かれている。
「では言うまでもない」
「我等の議論は意味がない」
「コーランに書かれているのだ」
「コーランにジンが出ている」
「それならばな」
「存在しない筈がない」
法学者達は皆納得した、そしてだった。
彼等は結論を出した、ジンは存在すると。これで議論は終わった。
その一連の流れを見届けてだ、ハールーンは納得した顔で頷いた。
「余の勘が当たったな」
「その通りですね」
ジャアファルがハールーンに応えた。
「議論は終わりました」
「ジンがいるかどうかというな」
「法学者達の議論が終われた」
「民達のそれも終わったな」
「はい、イスラムの教えとしての結論が出たのね」
「そうなった、ではだ」
「はい、このことはですね」
ジャアファルはハールーンにあらためて話した、今彼等は政の話をしているがその時に今回の議論の話もしているのだ。
「最早」
「終わりとする」
「カリフも政にはですね」
「挙げない、それでだ」
ハールーンはジャアファルにあらためて述べた、彼の後ろにはいつも通りマスルールが刀と敷きものを手に控えている。
「議論の結論もだ」
「それもですね」
「余は満足している」
にこりと笑っての言葉だった。
「いい結論だ」
「コーランに書かれている」
その結論についてジャアファルも述べた。
「だからですね」
「存在している、それはな」
「当然のことですね」
「コーランに誤りはないのだ」
ハールーンも敬虔なムスリムだ、だからコーランを絶対と信じている。それで今ジャアファルにもこう言ったのだ。
「ならばな」
「この度の結論は」
「当然のことだ、コーランに書かれているならば」
まさにというのだ。
「接待だ、ではな」
「はい、それでは」
「政に移るぞ」
「わかりました」
ジャアファルはハールーンの言葉に頷いた、そうしてだった。
二人で政の話をはじめた、ジンの存在の話はこれで終わった。コーランに書かれていることで嘘はないということに誰もが気付いて。真実はそこにあるのだと。
ジンはいる 完
2018・10・13
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