第一章
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サンタは本当に
その時子供達は皆言い切りました。
「サンタさんはいるよ」
「絶対にいるよ」
「いない筈がないよ」
「そんな筈ないよ」
「いや、いない」
子供達に弁護士のお仕事をしているショーン=ドナーさんが言いました、黒縁眼鏡で黒髪をオールバックにしたスーツ姿のとてもまじめで怖そうな人です。お仕事でニューヨークの幼稚園に行った時に子供達の言葉を聞いて言ったのです。丁度世の中はクリスマス前で賑わっている時です。
「サンタクロースなぞいない」
「どうしてそう言うの?」
「サンタさんがいないって」
「サンタさんはいるのに」
「どうしてなの?」
「いないとわかっているからだ」
容赦なく言うドナーさんでした。
「だからだ」
「いるよね」
「そう、僕達に絶対にプレゼント届けてくれるし」
「クリスマス朝起きたら絶対にプレゼントあるよね」
「枕元の靴下の中に」
「お願いしたプレゼントがね」
「それはサンタの仕事ではない」
あくまでこう言うドナーさんでした。
「それは君達の親御さん達の仕事だ」
「パパやママの?」
「そうだっていうの?」
「サンタさんがくれたんじゃなくて」
「そうだっていうの?」
「そうだ、それが現実だ」
眼鏡に右手を当てて言い切ります。
「君達は子供だから言っているのだ」
「そうかな」
「サンタさん絶対にいるよね」
「街で見た人いるし」
「クリスマスに夜空で見た人いるし」
「トナカイの橇に乗ってね」
「それは全て言い伝えだ」
それに過ぎないというのです。
「君達は子供だからそう言っているだけだ」
「それは違うよ」
「絶対に違うよ」
「おじさん間違ってるわ」
「サンタさんは絶対にいるよ」
子供達はドナーさんがあまりにもサンタさんを否定するのでいい加減怒ってそのうえでドナーさんに言いました。
「おじさんが何を言っても」
「サンタさんは絶対にいるんだ」
「いない筈がないから」
「じゃあおじさんもお願いしてみればいいのよ」
「クリスマスに」
「そんなことをしても同じだ」
あくまでこう言うドナーさんでした。
「サンタクロースは架空の存在だ」
「おじさんがそう言ってもいるから」
「いるってわかって驚くよ」
「サンタさんが本当にいたって」
「そのことがね」
「そんなことは有り得ない」
子供の言うことだと頭から思って言い切ったドナーさんでした、そしてです。
幼稚園からご自身の事務所に戻って秘書のカール=リュッケさんに言いました。
「馬鹿馬鹿しいと思わないか」
「何についてそう言われますか?」
「クリスマスのことだ」
自分の前に座る奇麗なブロンドに青い目の端正な若い男の人への言葉です。背はドナーさんと
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