第五章
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バービアの行いだ、市民達もマスコミの記者達も皇帝が彼に対してどうするのかをここで注目した。
「どうなる」
「皇帝も流石に許さないだろう」
「頭がおかしいと言って身柄を拘束した」
「こんなことは許されない」
「絶対にな」
「ではだ」
「処罰が命じられる」
誰もがこう思った、それで皇帝の動向に注目したが。
皇帝はその彼に特赦を出した、大逆罪であったがそれを赦したのだ。
市民達は皇帝のこの行いに喝采した、そして警官達もだ。
通りで皇帝に会った時は敬礼する様になった、皇帝の名声は最早確かなものになった。それでだった。
市民達は皇帝に敬意を見せてだった、貧しい彼が後宮レストランで食事を取っても笑顔で羽化得た。そうして彼を愛した。
やがて彼は誰からも愛される様にあった、しかしだった。
人は必ず死ぬ、それでだった。
皇帝は科学アカデミーでの講演に向かう途中で倒れた時市民達は喪に服した、そうしてこう言うのだった。
「素晴らしい方だった」
「まことにな」
「あの人は誰も殺さなかった」
「誰からも奪わなかった」
「誰も追放しなかった」
まさに只一人としてというのだ。
「こんな皇帝はいなかった」
「こんなことをした皇帝はいなかった」
「これからも出ないだろう」
「このことは忘れてはいけない」
「合衆国皇帝も出ないだろうが」
「これだけ素晴らしい皇帝が他にいたか」
「そしてこれからも出るか」
人々は思った、そして言ってだった。
マスコミの者達も彼を讃えた、最初はおかしいのかと思ったが今は違った。
「素晴らしい皇帝だった」
「全くだ」
「我々が出来ないことを幾つもした」
「考えられないことを多く述べた」
「名君だった」
「本当誰も殺さず奪わず追い出さず」
「こんな皇帝は一人もいない」
まさにと言うのだった、そしてだった。
皇帝への追悼も行った、皇帝は死後も誰からも愛された。
今皇帝はカリフォルニア州コルマのウッドローン墓地に眠っている、墓石にはこうある。
「ノートン一世、合衆国皇帝、メキシコの保護者」
アメリカは共和制だ、だが皇帝は確かに存在していた。政府には完全に無視されたが市民達からこよなく愛された皇帝だった。その皇帝は今もアメリカにいておそらくアメリカのそして愛する人達のことを想っているのだろう。
アメリカ皇帝 完
2018・12・18
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