暁 〜小説投稿サイト〜
アメリカ皇帝
第四章

[8]前話 [2]次話
「一度彼を医者に見せよう」
「身柄を確保してか」
「そのうえでか」
「そうするか」
「それがあの人の為にもなるだろう」
 精神科医に治療させてというのだ、それで皇帝の身柄を拘束して実際に精神科医に見せようとしたが。
 これにだ、サンフランシスコの市民達もマスコミもこう反応した。
「何っ、皇帝を捕まえたのか」
「何てことをするんだ」
「あんな素晴らしい人はいないぞ」
「あの人がいつも何を言っているのかわかっているのか」
「間違ったことは言っていない」
「とても平和的で公平な人だ」
「中国系にしたことを知らないのか」
 このことについても言われた。
「あんな素晴らしい人はいないぞ」
「確かに自称皇帝だ」
「だがあの人以上に素晴らしい行いをしている人がいるか」
「いない筈だ」
「その皇帝を医者に診せるだと」
「こんなこと許されるものか」
 絶対にとだ、こう言ってだった。
 警察署に抗議した、これを受けて署長であるパトリック=クトウリ―は部下達に対して強い声で言った。
「犯罪は犯していない」
「それも一切」
「しかも街で騒ぐことはしていない」
「ではですね」
「精神鑑定もですね」
「受けてもらうに及ばない」
 こう言うのだった。
「だからだ」
「釈放ですね」
「そうしますね」
「私の権限で行う、そしてだ」
 署長はさらに言った。
「私が公式に謝罪する」
「そうもされますか?」
 警官達は署長の言葉に驚いて声をあげた。
「釈放だけで充分では」
「それだけで」
「別に謝罪までは」
「そこまでは」
「いや、あの人は人気がある」
 サンフランシスコの市民達にというのだ。
「だからだ」
「それで、ですか」
「この度はですか」
「釈放してですね」
「公式に謝罪もですね」
「行う」
 こう言ってだ、署長はすぐに皇帝を釈放させて今回のことを公式に謝罪した。だがここで一つの問題があった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ