第四章
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彼にアップルパイやアップルティー、そして林檎そのものを差し出してそのうえで笑顔で言ったのだった。
「美味いからな」
「この料理は最高だぞ」
「甘くてしかも身体にもいい」
「だから食べてくれ」
「他の料理もな」
こう言って林檎料理や林檎そのものを食べることを勧めたが。
イヨタケは彼等に断固とした声で言った。
「いらない」
「美味いぞ」
「それでもか」
「この林檎は最高だ」
一人が林檎そのものを齧ってからイヨタケに話した。
「それにパイもティーもな」
「だから食べることだ」
「他の料理もな」
「ステーキもバーボンもあるぞ」
「どんどん食ってくれ」
「全ていらない」
林檎だけでなくという返事だった、イヨタケのそれは。
「アメリカのものはな」
「作ったのは俺達の家族だぞ」
「俺達の女房や娘だ」
「インディアンが作ったのだぞ」
「あんたと同じインディアンがな」
「だがアメリカのものだ」
あくまでこういうイヨタケだった。
「だからだ」
「それで、なのか」
「どれも食わないのか」
「そうするのか」
「そうだ、だから失礼させてもらう」
こう言ってだ、イヨタケは席を立った。そうして結局彼は林檎も他のものも一切食べなかった。そして。
ある日だ、彼は周りに話した。
「最近白人の友から手紙が来て読んでもらったが」
「どうしたんだ?」
「その手紙には何と書いてあったんだ?」
「かつてアレンという者と共にいたが」
それでもというのだ。
「私はカスター中佐を殺したとなっているらしい」
「あの戦争にあんたは加わっていないが」
「それでもか」
「そうなっているのか」
「あの戦争でのことは」
「そうだ、私はアメリカの街で彼等に友好的な挨拶をしたつもりだった」
そうだったがというのだ。
「だがアレイは私の話はそのリトルビッグホーンで如何に残虐に戦ったか」
「そうした話になっているのか」
「あんたは加わっていないのに」
「それでもか」
「私は彼等の言葉はわからない」
白人の言葉、つまり英語はというのだ。
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