第三章
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「それでどうする」
「ここで生きていくしかないのだぞ」
「それでアメリカに入らないでどうする」
「黒人達を見ろ」
彼等の話も出た。
「あの連中も白人から除け者にされていると言っているがな」
「あの連中は普通にアメリカで暮らしているぞ」
「農業も何でもやっている」
「保留地になぞいない」
「キリスト教を信じ美味いものを好きなだけ食っている」
「自分で稼いで生きているぞ」
「アメリカに入れば出来るんだ」
やがてそうした暮らしが出来るというのだ。
「ここはそうあるべきだ」
「俺達も白人の中に入ればいいんだ」
「何時までもインディアンの暮らしにしがみついてどうする」
「草原に戻れないんだぞ」
「若し戻ってバイソン達はいないんだ」
アメリカが徹底的に撃ち殺して何千万頭いたアメリカバイソンも千頭以下になった。これはバイソンが彼等の重要な食糧源となっているのでアメリカが撃ち殺して彼等の食糧源を絶ちそこから追い込もうとした為だ。
「もうそれで何が出来る」
「苦しくてもここで生きていくしかない」
「アメリカに入るしかない」
「それがわからないのか」
「俺達のことがな」
こう言ってだ、彼等はイヨタケ達の考えを否定した。だが。
イヨタケはあくまでこう主張した。
「私は彼等が言うインディアンだ」
「その撮りだ」
「俺達はインディアンだ」
「白人じゃないんだ」
「そして他の土地から来てもいない」
「アメリカ人じゃないんだ」
「どうしてアメリカに入られる」
イヨタケの周りの者達も同意見だった。
「俺達は俺達だ」
「それ以外の何物でもない」
「例え敗れてもアメリカに入られるか」
「保留地にいてもな」
「その通りだ、私は私の血を誇りに持っている」
イヨタケの言葉はあくまで穏やかだった、しかしその穏やかさの中に確かない芯があった。そうした言葉だった。
「その誇りを捨てない」
「その証拠にあんたはずっとスー族だった」
「スー族の誇りと共に生きている」
「白人の友達もいるがな」
「あんたは連中にも媚びていないな」
「彼等のことは個人的に大事に思っている」
イヨタケは交流のある彼等のことはこう言った。
「人としてな、アメリカの大統領にも会わせてくれたし報酬もくれた」
「しかしだな」
「それでもだな」
「スー族の誇りはあるな」
「それは捨てないな」
「絶対にない、私はあくまでスー族として生きる」
イヨタケの考えは変わらなかった、それでだった。
保留地にいてもスー族として生きていた、その彼に。
白人つまりアメリカ政府の方についたインディアン達は懐柔策にも出た、それで彼等はイヨタケを宴に誘い。
馳走を用意した、酒もだ。そして最初にだった。
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