第二章
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「要するにな」
「自分達が進む先にいる敵か」
「あの国が建国される以前からの」
「邪魔な敵か」
「そうした存在か」
「そうだ、だから攻めてきて殺してきた」
イヨタケはここであることを思い出した、この保留地に入るまでのことを。
「そして土地を奪ってきた」
「我々の土地をな」
「勝手にアメリカ合衆国と名乗ってな」
「そうしてきたな」
「騎兵隊を送ってきて」
「殺してきたな」
これが彼等から見たアメリカだ。
「それでか」
「敵を許すつもりで言っているか」
「寛容にも自分達の中に受け入れる」
「その考えか」
「そうだ、だがそれは間違っている」
イヨタケは言い切った。
「我々は我々だからな」
「全く以てその通りだ」
「スー族にはスー族の文化がある」
「そして信仰がある」
「それを捨てられるものか」
「そんなことが出来る筈がない」
「彼等は我々に林檎を食えと言う」
イヨタケはこのことについても言及した。
「そうだな」
「林檎だな」
「彼等がよく食う果物だな」
「まさにアメリカの象徴と言っていい」
「それを食えというのだな」
「つまりアメリカに入れということだ」
それはまさにというのだ。
「要するにな」
「その通りだな」
「結局はそういうことだな」
「林檎を食えということはアメリカに入れということだ」
「そのことに他ならない」
「そんなことは認められない」
「私は林檎は食わない」
イヨタケは宣言する様に言った。
「これから何があろうとな」
「アメリカは入らない」
「そういうことだな」
「我々は我々だ」
「だからだな」
「そうだ、あの果物は死ぬまで食わない」
こう言ってだった、イヨタケは実際に林檎を食おうとはせず周りも同じだった。だが保留地にいるインディアンも色々だった。
中には白人についている者達もいた、彼等は警官隊にもなりアメリカから派遣された監督官達と共にいた。
彼等は林檎だけでなく様々なアメリカの料理を食べながら言った。
「アメリカに入ればいいのにな」
「全くだ」
「そうすれば楽だというのに」
「インディアンのままでいる者達が多いな」
「まだまだな」
「困った奴等だ」
彼等から見ればだった。
「アメリカに入ればいいのにな」
「もう流れは決まっている」
「俺達はアメリカに入るしかない」
「さもないと生きられない」
「俺達に何が出来る」
こう言うのだった。
「一体な」
「俺達が出来たのは狩猟と戦いだ」
この二つだというのだ。
「そのどちらもこの保留地では出来ない」
「農業なぞ出来ないのだ」
アメリカ政府は彼等に農業をさせようとしたがトラクターも牛も扱い方を知らない彼等に何が出来る筈もなかった、それで結局
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