第三章
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「そうなりますので」
「わかった、ではな」
「旦那様は悪名を被りますが」
「それでも領地が潤うならいい」
伯爵は妻に強い声で応えた。
「そうしよう」
「かたじけないお言葉、それでは」
「コヴェントリーの街に行ってくれ」
こう妻に命じた、そして妻は実際にコヴェントリーの街を馬で巡ったが裸にはならず一周しただけであった。
しかし話を聞いたコヴェントリーの者達は誰もその夫人を観ようとしなかった、そして覗く者もいなかったが。
噂はしっかりと流された、それでだった。
伯爵は悪名を被ったがコヴェントリーの街には多くの者が来る様になり彼等から得られる金で領地は潤った。こうして伯爵領は助かった。
この状況を見てだ、伯爵は夫人に笑顔で話した。
「そなたの言う通りにだ」
「はい、無事にですね」
「コヴェントリーの街に人が多く来てな」
「彼等からの金で、ですね」
「街も領地も潤いな」
「助かりましたね」
「重税もな」
問題のこれもというのだ。
「無事にな」
「軽く出来ますね」
「コヴェントリーの街にはこれから人が多く来る」
「ならば」
「安定した金も得られる、そしてだ」
伯爵は妻にさらに話した。
「農業や商業に力を入れている成果もな」
「今後出ますね」
「間違いなくな、全てはそなたの言う通りだ」
「領地は助かりましたね」
「いいことだ、その為にはだ」
領地が助かる、それならばというのだ。
「私一人が悪名を被るなぞな」
「何でもないですか」
「そう思う、まことにいいことだ」
こう言ってだ、伯爵は喜びの美酒を飲むのだった。その酒もこれまで飲んでいるものより美味く感じられた。
そしてだ、妻に覗き見の者の話もした。
「実際にはいないがな」
「はい、その者の話もです」
「話題になってだな」
「コヴェントリーに人を寄せています」
夫人の話と共にというのだ。
「そうなっています」
「それは何よりだ、実際におらずともな」
「そうした者がいるという話があれば」
「それでだな」
「人は興味を持ち」
その不心得者にもというのだ。
「余計に集まるので」
「いいのだな」
「その者もことも伝えていきましょう」
夫人は夫に笑って話し夫も笑顔で頷いた、こうしてこの話も広く伝えられコヴェントリーの街に人を集めた。
ゴダイヴァ夫人の話は意地の悪い夫の言葉で裸で馬に乗ったうえで街を歩き覗き見る仕立て屋のトムは天罰が当たり失明したと言われている、しかし実はこの話はどちらも創作で実は夫人はそうしたことをしていない。
勿論仕立て屋のトムもいなかった、だがこの二つの話でコヴェントリーの街は有名になり今に至る。その背景には伯爵と当のゴダイヴァ夫人のこうした話があったのかも知れない、事実は
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