第一章
[2]次話
裸で
この時イングランドのマーシア伯爵領は苦しい状況にあった。
その為領土の政治で伯爵も夫人であるゴダイヴァ夫人も何かと腐心していた。
その中でだ、夫は妻に言った。
「畑は新しい農法を取り入れるか」
「近頃話題になっている、ですか」
「三圃式というものをな」
「あれをしてみますか」
「そして家畜もな」
牛や豚、羊達もというのだ。
「よい品種を入れてな」
「そうしてですね」
「育てやすく実りをな」
「多いものにして」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「こちらもよくしよう、森を切り開きな」
「そうしてですね」
「新たな畑を拓き町もだ」
これもというのだ。
「整え商いをな」
「盛んにしますか」
「そうしたいが」
しかしと言うのだった。
「税がな」
「そのことですね」
「民達は重税に喘いでいるか」
「そう感じています」
実際にとだ、夫人は膝まであり身体全体を覆わんばかりの見事な栗色の髪と緑の瞳の整った顔で夫に話した。
「実際に」
「軽くするか」
「そうすべきです」
「収入はな」
それはというと。
「畑や家畜とな」
「開墾と街を整え商いをよくすることで」
「盛んにするか、考えてみれば税を高くするよりも」
それよりもというのだ。
「その方が長く実りが得られる」
「重税よりも」
「そうするか、しかしな」
伯爵は妻に苦い顔で述べた。
「すぐにはな」
「税を軽くはですね」
「出来ない、三圃式にしても開墾しても街を整えてもな」
「家畜のこともですね」
「実りが来るのは先だ」
すぐに結果は出ないというのだ。
「まだ先のことだ」
「左様ですね」
「暫くは税をこのままにしないとな」
「何も出来ませんね」
「とかく今私の領地は苦しい」
このことは否定出来ないというのだ。
「金が足りない」
「何といっても」
「それでだ」
無念だがとだ、伯爵は妻に言った。二人が住んでいる城の雰囲気も重苦しい。
「どうすべきかだが」
「何かいいお考えが」
「これといってだ」
「ありませんか」
「実りが入るまでに豊かな金が入れば」
それでというのだ。
「税も軽く出来るが」
「それはですね」
「難しい」
まことにというのだ。
「今の領土の状況ではな」
「では」
ここでだ、夫人はふと閃いた、それで夫に話した。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ