第二章
[8]前話
「渡辺変わったわね」
「何かと、よね」
「新人類ね」
「それ若い時の話だから」
友達の言葉はクールになっていた。
「だからね」
「それはなのね」
「過去のお話としてね」
「記憶の一場面として?」
「覚えておくものよ」
まさにそれだというのだ。
「その言葉はね」
「そんなものなのね」
「いや、もうあんな言葉はね」
「あの時の流行語ね」
「そうよ、西武もすっかり変わったし」
主力選手がかなり出た、我がヤクルトにも来ている。気付けばヤクルトが日本シリーズで西武に勝ったりしている。今年も勝ったし何年か前に二年越しの死闘を制している。
「それでね」
「もうなのね」
「新人類もないわ、西武もあの時の西武じゃないし」
「過去のことね」
「全部ね」
友達は何処か遠くを見る顔で私に話した、それからだった。
私も友達も気付いたら子供が大きくなって皺も出て髪の毛も白いものが混ざってだった。何か老後がどうとかなって。
渡辺も工藤も監督になった、まさか工藤がソフトバンクの監督になるなんて夢にも思わなかった。そして何よりも。
新人類トリオの最後の一人清原についてだ、私は自宅のテレビのニュースであの事件のことを観てから会社で友達に言った。いい会社で産休も取らせてくれて今も働かせてくれている。
「清原はね」
「もう何ていうかね」
「新人類がね」
「番長とやらになって」
「ああなったわね」
「もう何て言うのかしら」
それこそだった。
「変わり果てたわね」
「新人類がね」
「もうそれは昔の話で」
「番長になってそれで」
「ああなるなんてね」
「いや、何ていうか」
私としてはだった。
「新人類は本当に昔のことね」
「清原を見て特に思うことよね」
「新人類が何を間違ったか番長になって格闘家ぶって」
「挙句はあの有様」
「いや、人間変わり果てるものね」
「本当にそうよね」
西武にいた時の清原はもういなかった、渡辺も工藤も変わったけれど悪い意味で比べものにならなかった。それで私は思った、新人類なんてもう昔の言葉だとだ。私達がまだ社会に出た時に流行った仇花みたいな言葉だった。新人類と言われた私達にしろもうおばさんどころか初老そろそろ子供の結婚の話が出て来ていた、それでは新人類なんてもう言えたものではなかった。
ニュー=ジェネレーション 完
2018・7・1
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