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人理を守れ、エミヤさん!
鉄の心の士郎くん!
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神――そんなモノが神代でなく現代に存在する理不尽。
 嘗て男は或る少女に語った。絶対に諦めない、その心を歴史の偉人に学べと。ならばそんな講釈を垂れた身が、どうして躰を残して死んでいられる。楯の花弁は一枚、それは破壊された。士郎は力を使い果たしたように倒れる。だが意識はあった。

「――よかろう。此度は、貴様らの勝ちだ」

 言い捨て、隻腕となったアルケイデスはケリュネイアの牝鹿を走らせ撤退する。
 それをクー・フーリンを含め、誰も追わない。単騎で追撃するには不穏だった。新手がないとも限らない。ならばマスターを守護するのが最上である。
 敵の気配が完全に遠ざかったのを確信し、クー・フーリンが念のためルーン魔術で探知の陣を張ると、マシュは安堵してその目に涙を浮かべた。

「先輩っ」

 倒れている男の首根っこに抱きついて、全身で喜びを露にする少女に、士郎は力なく微笑む事しか出来ない。



 こうして恐るべき復讐者との一度目の(・・・・)戦いは幕を下ろした。






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