何度でも蘇る士郎くん!
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は無限大の殺意に塗れた矢だった。単発の矢、しかしその狙いの精度と威力は既知のそれ。即ち直撃すればそれだけで即死する。
咄嗟に回避したアタランテの全身に戦慄が駆け抜ける。畏怖と共に確信した。あれはヘラクレスだ、だが同時にヘラクレスでは有り得ない。アタランテの誰何と反応、そして実際に矛を交えて把握した力量から、クー・フーリンは相手がヘラクレスか、それに準じる存在であると理解する。
「無様だな、外道」
侮蔑。クー・フーリンが吐き捨てた。ケルベロスを犠牲にして飛び退いた弓兵は無言でアタランテの誰何に矢を返し、更に虚空で身を翻しながら青銅の矢をつがえた。
魔力の高まりは怪鳥の声。青銅の矢の形状が変化する。第六試練の逸話より引き出した『ステュムパリデスの鳥』を今に放たんとするが、弓兵は己を狙う更に別の殺意を感知した。
「卑王鉄槌、極光は反転する――」
それは黒王。空を背に上空より聖剣を放つのが光の聖剣なら、地の底から手を伸ばすのは闇の聖剣。槍兵が繋ぎ、聖剣の騎士王が動かし、狩人が注意を引いた一連の流れ。そこから算出される移動先の地点を直感していた黒王が、充填した破壊の吐息を吐き掛ける。
凝縮された殺意は加速し、収束した。黒き聖剣が唸る。
「――光を呑め、『約束された勝利の剣』ッ!」
崖下から天空目掛けて吹き出る黒き極光。さながら地獄の底から噴き出たかのようなそれ。弓兵は青銅の矢と大弓を消し、代わりに取り出したるは魔大剣。身を捩り、満身に蓄えた力を放つ。
「『射殺す百頭』」
宝具の域にまで昇華された技巧の究極。瞬間的に暴力的なまでの魔力が大剣へと注ぎ込まれ、最強の聖剣を迎撃した。
瀑布の如き斬撃だった。島をも沈める九連する暴風の剣は黒い極光を塗り潰さんばかりに更に暗い。果たして拮抗する。騎士王は瞠目した。打ち勝ったのは聖剣、されど肉体に積んだ耐久のみで凌げる程度に威力が殺されていた。
着地した弓兵は、自身を包囲するカルデアの英霊らを見渡す。フンと鼻を鳴らした弓兵に、アタランテが再度、信じられないように問い掛けた。
「汝は、何者だ」
「愚問だなアルカディアの狩人」
思いの外静かな声だった。知っている声音に、アタランテは動揺する。
「ああそうだ。我が骨肉、我が魂こそは《《神になり下がった愚者》》の影法師よ! 」
オリュンポスの神々を否定し蹂躙する――神であるならなんであれ滅ぼす。ただそれだけの為に産み出された歪み、それがこの復讐者の魂。
例え世界を滅ぼしてでも復讐を成す。その為ならばなんだってするだろう。
「我が名はアルケイデス。アムピトリュオンとアルクメネの子にして、ミュケナイ王家の血を
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