何度でも蘇る士郎くん!
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放たれる槍を神域の武勇が凌がせた。
冴え渡る武技、見開かれる心眼。だが弓は弓、防戦に徹した所で白兵戦最優の武装、兵器の王とまで言われる槍の猛攻を凌ぐには足らぬ。使い手の技量が拮抗していたのなら、優劣を分けるのは武具の差だった。
舌打ちが漏れ、弓兵が徐々に圧され後退していく。三百の交錯、末に綻んだ鉄壁の守りを鋭敏に見抜いたクー・フーリンの眼がギラリと光った。槍をしならせ撃ち下ろし、大弓で頭部を守った弓兵の懐に潜り込み――握り締められた鉄拳が弓兵の下顎をカチ上げた。
「グ――」
続け様に屈み込み、迅雷の如く腹部を蹴り穿たれ弓兵の躰が宙に浮いた。踏ん張りの利かぬ空中は死の空間。追撃はルーンだった。
「F!」
迸るは火焔の奔流。全開のルーン魔術による砲弾。例えサーヴァントであっても一撃で灰塵と帰さしめる絶殺の具現。
しかしそれは、弓兵が煩わしげに振るった腕で掻き消される。最高ランクの対魔力かと一目で看破したが、元より光の御子はルーンは防がれるだろうと視ていた。弓ですら己の槍を凌がんとする猛者、簡単に斃せると楽観する槍兵ではない。
故に目的は攻撃ではない。己に負けず劣らずに激怒し、猛る赤竜らへ繋ぐ布石こそが狙いだ。
これは、英雄と英雄による一騎討ちではない。
「――ッ!」
ハッと弓兵が虚空を見上げる。中天に座す太陽を背に、月の煌めきが如き極光を放つ聖剣が陽射しをも塗り潰していた。
猛り狂う魔力のうねり。冷徹で静かな貌の奥に激甚なる憤怒が燃え滾っている。主にして、愛を結び直した男。騎士として、女として猛らぬ道理はない。手加減も呵責もなく、騎士王は吼えた。
「『約束された』――」
弓兵、この期に及んで尚も磐石。
虚空に召喚されるは宝具『十二の栄光』による逸話の引き出し。地獄の番犬ケルベロス。
弓兵の反転により神の加護を無くして神獣ではなくなっているが、それでも構わない。もとより用途は捨て石だ。弓兵はその腹を蹴って空中で移動する。
「――『勝利の剣』ァッ!」
果たして地獄の番犬は両断された。だが弓兵の離脱は間に合った。そこに殺到する狩人の矢。
しかし弓兵は一瞥のみで矢玉を視認するなり防禦すらしなかった。引き絞られた天穹の弓の弦から放たれた矢の威力は、防御宝具の守りをも突破するというのに。
矢は閃いた神獣の皮に呆気なく弾き返される。アタランテは驚愕した。まさかとは思っていた。視認した狙撃の宝具、そしてその人理を阻む神獣の皮。姿形が余りに違い見知った高潔な英雄には有り得ない不意討ちから、そんなはずはないと己に言い聞かせていたのに。思わず誰何していた。
「――汝はヘラクレスか!?」
返答
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