二十一 タイムリミット
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「そうか…ご苦労、サスケ」
大蛇丸を餌として『暁』が天地橋で待ち伏せしているという可能性。
罠ではないか、という疑惑が、これで潰れた。
現在、秘密裏に大蛇丸の許へスパイとして忍び込んでいるサスケの話に、綱手は思案顔を浮かべた。
大蛇丸とカブトの会話を秘かに聞いていたサスケ。
カブトが一瞬こちらに気づいたような素振りを見せたものの、大蛇丸に何も伝えていない事を考えると気のせいだろう。大蛇丸の腹心の部下であるカブトが、盗み聞きしているサスケの事を大蛇丸に報告しないはずがない。
サソリと落ち合う事を大蛇丸に報告している時点で、カブトがサソリを裏切っているのは明白である。
大蛇丸に、己が『暁』のスパイだと暴露して、今もサソリの部下ならば、その時点でカブトの命はない。
よって、現在のカブトが従う相手は大蛇丸に他ならないだろう。
それほど忠誠心を抱いている大蛇丸に何も言わなかったのなら、会話を盗み聞きしていたサスケに気づかなかったと判断できる。
大蛇丸とカブトの会話を聞いたことでサスケの身が危険に晒されることはない、と判断した綱手は、「しかし…」と、顎に指先を添わせた。
「カブトが『暁』メンバーの部下だったことは驚きだな」
≪前々から胡散臭い野郎だと思ってはいたがな≫
綱手の口寄せ動物であるカツユ。
その分裂体から聞こえてくるサスケの声に耳を傾けながら、綱手は「ひとまず、これで天地橋に向かっても罠の可能性はないわけだ」と言いながら、眉間に皺を寄せた。
「だが、大蛇丸が来る可能性がある、という危険性が更にあるわけか…」
≪曖昧なところだな≫
サスケとて、大蛇丸とカブトの会話を完全に把握できたわけではない。
カブトが『暁』のメンバーの部下であり、天地橋で落ち合う手筈になっていたという情報は聞き取れたが、実際に大蛇丸が橋に向かうかまでの確証は得ていない。カブトがこちらに気づいたような素振りを見せた時点で、サスケはすぐさま身を潜めたからだ。
「まぁ『暁』の罠の線が消えただけで良しとしよう───ところで、サスケ」
綱手の問いに、サスケは無言で話の続きを促した。
黙っているカツユの分裂体である小さな蛞蝓に、綱手は声を潜めて訊ねる。
「春野サクラと…────アマルの現状は?」
サスケの後を追って里抜けしたサクラと、かつて綱手の弟子であったアマル。
サスケがスパイだと知らずに里を抜けたサクラと、大蛇丸の甘言で自分の許を去ったアマルを、綱手は気にしていた。
《アマル…?ああ、里を抜ける時、俺を迎えに来たあの女か》
『終末の谷』で、ナルと対峙した時、大蛇丸の命令でサスケを迎えにきた赤い髪の少女。
ナルと決別して大蛇丸の部下になったそうだが
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