オルフェノクの使い魔でホワイトデー
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降り、扉を開けた。そこには彼女が待ち望んでいた男が立っていた。タバサはサイトを部屋に招き入れた。
視線がどうしてもサイトの手にある袋に行ってしまう。その視線に気がついたサイトが笑みを浮かべたのを見て、タバサは顔を真っ赤に染めて下を向いてしまった。
サイトは下を向いたタバサの頭を撫でてから、袋の中に手を突っ込んだ。同時にタバサから発せられる期待の視線の強さが増した。
「ヴァレンタインのときのお礼だ」
そう言って袋の中から出てきたのは、一冊の本だった。タバサは本を受け取ると表紙に目を向けた。『この世界でたった一冊の本』という題が書かれていた。
「兄さま、読んでもいい?」
「それはもう、お前だけのものだ。読みたいなら、読めばいい」
サイトの許しが出てタバサは本を開いた。そこに書かれた物語はタバサが呼んだことも聞いたこともないものだった。
「俺の世界にあったものを覚えている範囲で書いてみた」
「え?」
「だから、『この世界でたった一冊の本』なんだ」
(……これは、兄さまが私のためだけにわざわざ書いてくれた、私だけの本!!)
タバサはあまりにも感動してしまい目に涙まで浮かべた。それをサイトは別の方向に認識した。
「いやだったか? なら、捨ててくれていいぞ」
「違う!!」
思わず、タバサからは想像もできない大きな声で否定し、タバサは力いっぱいサイトに抱きついた。
「嬉しい。とっても、とっても…嬉しい」
「そっか」
抱きつくタバサの頭に手を置き、タバサの気がすむまでそのままでいた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
*** 6着目シルフィード ***
タバサが満足してサイトから離れるのに1時間近くかかった。
「タバサ」
「……(?)」
「シルフィードを呼んでくれ」
「……(コクン)」
タバサは窓のそばに立ち、口笛を吹いた。すると、数分とたたず、シルフィードが飛んできた。
「きゅい?(何なのね。お姉さま)」
「兄さまがようだって」
「きゅい!(ダーリンが!)」
シルフィードは部屋の中にサイトの姿を見つけると、人の姿に変身してサイトに飛びついた。
「ダーリン! シルフィになんのようなのね?」
それを見たタバサは青筋を立てて、杖で自分の使い魔をぶん殴った。最近、サイトに訓練してもらって身につけた力のない自分でもパワーを上げる方法として教わった遠心力の力を借りたその一撃は、シルフィードの側頭部に直撃し、シルフィードを吹っ飛ばした。
「い、痛いのね! 人間だったら、死んでいるのね!」
「兄さまに迷惑をかけちゃダメ」
「目が殺すって言って
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