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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔22
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座った。

「何かあったの? ジェシカお姉さんに話してみなさい♪」

まだ、大して飲んでいない(一般人基準)のだから、相談相手くらいになってあげようと思ったジェシカだったが、酒に弱いルイズは完全に出来上がっており、この一言を言ってしまったせいで延々と続く愚痴を聞かされる羽目になるとは、この時、彼女は思ってもみなかった。


――――――――――――――――――――――――


「くだらないな」

「なんだって?」

「いや…」

サイトは、初めてアルビオンを訪れた時に出会ったまだ、男だったころのウェールズと貴族たちを思い出した。彼らも名誉やら誇りのためなら死ねると言っていた。
オルフェノクとなった今のウェールズは、「死はとても恐ろしいものだ。今なら名誉と命どちらが大事だと聞かれたら、迷わず命といえるよ」と笑って言っていた。
あの時、王党派で生き残り、この戦いに参加している貴族たちは、サイトに笑って「軍師殿、我々は生きている。だから、あの戦いは我々の勝利ですぞ!」と報告してきた。きっと彼らはこれからも誇りや名誉のためではなく、生きるために戦うだろう。
あの時のように話したいところだが、目の前にいる少年兵たちは命をかけて戦争に参加している自分に酔っている。ミズチの采配で、勝利ばかりを得続けているため、死の恐怖が薄れてしまっている。
どうやら、戦いの緊張を忘れないために取った行動が、逆に変な自信を与え、“命をかける”という重さを忘れさせてしまったようだ。その事実を痛感し、サイトは、眉をひそめ、目の前で高らかと語る少年たちをどうするべきか、思考を巡らせ始めた。
“誇り”“名誉”この二つの言葉には、本当に神聖な意味があったのだろう。だが、千年を超える長い貴族の歴史がいつのまにかその意味を変えてしまったようにサイトには思えた。

(こいつらもある意味で時の犠牲者ってことか…)
「名誉名誉って言って簡単に死のうとするんじゃないぞ。勝ち戦だって逃すぞ」

「どういう意味だい?」

「戦争は兵の質も重要だが、量の方が重要度が高い。事実、学生であるおまえたちは、経験値が低くてもいいからって前線に出ているだろう。
我々、連合軍は質よりも量で戦っている軍だ」

「それはボクらをバカにしているのか?」

周囲にいた学生たちの視線が殺気だったのを感じながら、サイトは芝居ががったしぐさで手を大きく動かす。

「なら、おまえたちは、数え切れないほどの死地を乗り越えてきた歴戦の勇士のような力があると思っているのか? これまで勝ってこれたのは、敵の量があまりにも低かったのが大きい。
だからこそ、言える。簡単に人が減ることは、決して避けねばならない。我々のアドバンテージである量が失われてしまうからな。
それに…」


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