オルフェノクの使い魔21
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存在するため、壁は魔法を受け付けませんし、物理的方法で破壊しようとしても、膨大な力を必要とします。以前、フーケに壊されたため、従来よりも強固なものとなっていますので、破ることは不可能と言っても過言ではありません。
そうなれば、侵入する手段はかなり限定されます。窓と門だけになります。ここまで限定されれば、かなりやりやすくなるはず…」
アニエスは昼間の認識を改めた。昼間見たとき、この男は腑抜けの一言で事足りるちっぽけな男だった。だが、今目の前にいるのは、ミズチに信頼されるに値する男に見えた。
「確かに…一理あるな。警備の配置を練り直すか」
「それともうひとつ、やっておこうと思っていることがあるのですが」
席を立とうとしたアニエスは何を言おうとするのか興味を覚え、座りなおした。
「水系統の教員と生徒を集めて救護班をつくろうと思うのです。
戦いになれば、どうしても傷人が出るものです。それに迅速に対応できる救護班は必要不可欠かと」
オスマンは髭をなでながら、コルベールの話を聞き、ゆっくりと体を起こした。
「フム…救護班の方は、ワシが何とかしよう。それに彼が我々のために置いて行ってくれた戦力も使わんとな」
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キュルケとタバサは、着替えと必要最低限の荷物を手に本塔の中に入った。中に入ってすぐ、大急ぎで用意されたのであろう受付があり、そこで、字が読めるメイドたちが生徒の名前を聞き、これからしばらくの間、住む部屋を伝えるという作業に追われていた。
キュルケは、その中にシエスタを見つけ、タバサを伴って彼女のもとへ行く。
「シエスタ、あたしたちの部屋の場所、教えて」
「あ、はい! えっとお二人は…」
シエスタはパラパラとリストをめくり、二人の名前を探しだす。
「お二人は三階になります」
「そ、ありがとう」
「いえ」
キュルケが礼を言い、タバサも小さく頭を下げるとシエスタはにっこりと笑った。邪魔になると悪いと思い、キュルケはタバサを連れてそこから離れることにした。
「あ、言い忘れるところでした、ミス・タバサは、あとで中庭に行ってください」
「わかった」
コクンと頷くタバサをちらっと見てから、キュルケはシエスタに疑問を投げかけた。
「あら? タバサだけなの?」
「はい。水系統の魔法を使える方を集めているみたいです」
「水系統かぁ…、なら、私はお呼びじゃないわね」
彼女は、火系統であるため、水系統の魔法とは相性が悪く、扱えないのだ。
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早朝4時過ぎ、まだ日は昇らず、暗闇の中、本塔の屋根の上にシエスタとウェ
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