オルフェノクの使い魔21
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「……」
艦隊が出陣した翌日、コルベールは薄暗い研究室にいた。いつものように何かを研究しているわけでもなく、ただ、ボーッと椅子に腰かけ、天井を眺めていた。
先ほどまで、授業を行っていたのだが、女王直下の銃士隊が学院にやってきて女子生徒を兵不足の際の士官にするという名目で、授業をつぶされ、ここに戻ってきたのだ。
「…誰も傷つかないよう行動を起こす……か」
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サイトとルイズがここを発つ数日前のことだった。
戦争に参加するつもりのないコルベールはいつものように研究室にこもって研究をしていた。
「邪魔するぞ」
入ってきた人物に、コルベールは笑みを浮かべて振り向いた。
「やぁ、サイトくん」
手を止めて来客にお茶を出そうとするコルベールをサイトは止めた。
「悪いコルベール、今日は茶を飲みに来たわけじゃないんだ」
そう言うと、紙の束を手にしたサイトは椅子に腰掛け、コルベールの顔をじっと見つめた。
「な、何かね?」
「ここは、敵に狙われる可能性がある…」
「ッ!? そ、それは本当かね!?」
「ああ、何とかしたいんだが、学院で戦力になりそうなのは、オスマンのジジィとキュルケとタバサ、それとシエスタとウェールズだけだ。他のやつらはランクも低いし、場馴れしていない」
「なら、王宮に要請を!」
「とうの昔にした。できれば、メイジの隊を派遣してほしかったんだが、かないそうにない。
このままだと、正直な話、ここを離れるのは不安だ。しかし、ある戦力が加わってくれれば、俺は安心してここを離れられる」
「私に戦えと言うのかね?」
「理解が早くて助かる。魔法研究所実験小隊の元隊長が加勢してくれれば心強いんだがな」
「ッ!? 君は、それをどこで…」
「前に、オスマンのジジィにお前のことを聞いたことがあったんだが、はぐらかされてな。何があるのか興味を覚えたんで調べてみた」
そう言ってサイトは、手に持っていた紙をコルベールに投げた。受け取ったコルベールが目を通すと、そこには、当時の自分の情報がびっしりと書かれていた。自分のことをここまで調べたサイトの能力に驚愕し、それから、コルベールはすまなそうにつぶやいた。
「すまないが、私はもう、争いのために魔法は使わないと決めたんだ」
「そのために生徒たちが死んでも構わないと?」
「そうは言っていない!」
強い口調で叫んだコルベールだったが、すぐにハッとすると、サイトから目をそらした。
「すまない…」
「いや、謝らなくていい。それに言い方が悪かったな。俺は、『炎蛇』のジャン・コルベールに魔法で戦えとは言っていない」
そういうと
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