オルフェノクの使い魔20
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レヤレと首を振るサイトにルイズの眉間にしわが寄る。
「ルイズの使い魔ってことですか?」
「正解だ。それが問題なんだ」
アンリエッタの言葉にサイトは大きくうなずいた。
「私の使い魔が問題ってどういうことよ!?」
「ルイズは素晴らしいメイジです。その使い魔であることが問題とはどういうことですか?」
わからないらしい二人に、サイトは芝居がかったしぐさで首を振った。
「いいか? 例えば、俺が素顔をさらしたまま、総司令として表に立ったとする。そうなれば、まず「あんな若造が総司令?」、「あれは誰だ?」、なんて声が上がるのは間違いない。
その程度ならば、どうとでもできるが、この戦争には魔法学院の生徒や教員も多数参加している。そいつらが俺を見れば、俺が何者か気づくだろう「あれは『ゼロ』のルイズの使い魔だ」っとな。そうなれば、「何? 使い魔が総司令? ふざけているのか!?」っていう具合になっていくだろうな。この時点ですでにアウトだが、まだ挽回できる。
しかし、問題はこの先だ。「『ゼロ』のルイズ? 誰だそれは?」そうなればアウトだ」
「なんでアウトなの?」
「お前の前の二つ名の由来は?」
「魔法が使えないから……でも、今は!!」
『ゼロ』の由来を思い出し、悔しそうな顔になるが、今のルイズは『虚無』のルイズだ。そう主張しようとしたルイズに手をかざして黙らせる。
「今の二つ名を知る者はほとんどいない。だから、お前のことを聞いた者はこう思うだろう「魔法が使えない落ちこぼれメイジの使い魔の命令など聞けるか!!」、そうなってしまえば、俺がいくら指揮をとろうとしても、軍は機能しなくなり、敗けるだろうな。
素顔をさらしたまま陰で、ていうのも駄目だな。調べればあっさりとばれる。
だからこその仮面、だからこそのスケープゴートだ。わかったか?」
「うん」
サイトの思考の深さにルイズはただ頷くことしかできなかった。
「指揮をとるとき、俺は『虚無』のルイズの使い魔、平賀サイトではなく、『水君』のミズチだ。間違えるなよ」
「わかってるわよ」
「ルイズ、彼の正体は隠し続けなければならないものなの。だから、気をつけてね」
「わかっておりますわ、姫さま」
直情的なルイズの性格を考え、2人は不安を感じずにいられないのだが、彼女がサイトのご主人さまでアンリエッタ直属の女官である以上、教えておかないと後々面倒なことになるのは目に見えているため、教えないわけにはいかなかったのだ。
「さてと…」
サイトは、仮面をかぶってアンリエッタの前に跪いた。
「女王陛下、そろそろお時間です。皆、陛下の激励のお言葉を待っております」
「そうですね。
では、『水君』のミズチ」
「ハッ
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