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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔20
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た。


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港に着くとすぐにサイトは用事があると言ってどこかへ行ってしまい、それと入れ替わるようにアニエスがやってきた。

「ミス・ヴァリエール、女王陛下がお待ちだ」

「わかったわ」

サイトを追いかけようと思ったが、それは出来そうもない。サイトが行ってしまった方を一度振り返ってから、ルイズはアニエスの後について行った。
アニエスが向かった先は、この戦争に参加する者たちを激励するために来たというアンリエッタの待合室だった。ルイズを待合室に入るとアニエスは出て行ってしまった。

「ルイズ、あなたをここに呼んだのは、あなたに会ってもらいたいっていう人がいるの」

「私に、ですか?」

「ええ」

その時、タイミングよく、アニエスが出て行った扉とは別の扉がノックされた。アンリエッタが許可を出すと、仮面をかぶった貴族がいた。

「彼が先ほど話していた相手、真の総司令『水君』のミズチです」

アンリエッタに紹介されたミズチは、礼をとった。
だが、ルイズの目は、ミズチの手に握られているトライデントに注がれていた。
それは、彼女のもっともそばにいるものが、愛用している物と全く同じだった。

「何やっているのよ! サイト!!」

「バレたか」

「ええ、あっさりとバレましたね」

ミズチとアンリエッタは顔を見合せてともに「つまらない」と言いたげな雰囲気を醸し出していた。

「やはり、それを持ってきたのが失敗だったようですね」

「そのようですね。ルイズなら、気付かないと思いましたが、どうやら過小評価していたようです」

「あなたでも、見誤ることがあるのですね」

「それこそ過大評価というものですよ。陛下」

クスクスと笑いあう二人に完全に置いてきぼりをくらったルイズは、ミズチを睨みつけた。

「いい加減、その趣味の悪い仮面を外しなさいよ!!」

「趣味が悪いとはひどい。マザリーニ殿が考えてくださったというのに」

「いいから外しなさい!」

「この部屋は人払いしてありますから、はずしても平気ですよ」

アンリエッタの了承を得て仮面を外した。

「で、なんでこんなのつけてるの? それに真の総司令ってどういうことよ?」

ルイズは、近くにあった椅子に腰かけたサイトに詰問する。
適当にはぐらかされるものかと身構えた。こちら見向ける目はどうせ、適当そうなものだろうと睨んでいた彼女の予想に反し、サイトは真剣な目を向けた。

「ッ!?」

「理由は、俺の立場にある」

「立場?」

「そうだ。その立場が何か分かるか?」

「え? だから、総司令なんでしょ?」

「違う、それじゃない」


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