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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔19
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返った。いつのまにか戦場は庭から池に移っており、その池の水が彼女に迫っていたのだ。

「ッ!!」

とっさに竜巻を生み出して水を吹き飛ばすが、吹き飛ばした水はそのまま、彼女の周囲にとどまり、全方位から襲いかかった。
それさえも防いだが、彼女を襲う水は宙に漂うモノだけでなく、まだ池に残る水もそうだった。死角である真下から水の触手がマンティコアの足をつかんだ。
そのことに気付き、それを対処しようとするが、今度は宙に漂っていた水が彼女を抑え込んだ。杖を奪われ、水に身動きを奪われてしまったカリーヌに飛龍形態から通常形態に戻ったミズチオルフェノクはトライデントを突き付けた。

「勝負ありです」

「ええ、参りました」


―――――――――――――――――――――――――――――――――


二人がルイズたちのもとにもどってくると、母親が負けたことに驚いているエレオノールとルイズ、ニコニコしているカトレア、そして、

「おい、貴様」

「?」

公爵がいつの間にかサイトのすぐそばまで来ていた。公爵はものすごい形相でサイトを睨みつけていた。

「一個軍団、貴様に預ける。ルイズに毛ほどの傷でも負わせてみろ、貴様を括り殺してやる」

「軍団は結構です」

「なに?」

「使い魔である私が、軍団をもてば、自軍にいらぬ混乱を生む要因となるでしょう。
それに、公爵の戦力は減らしたくありませんし」

「何故だ?」

「最悪に備えておいてほしいのですよ」

そう言ったサイトに公爵は、違和感の正体がわかった。

「もう、行かねば、船団に間に合わないのだろう? 竜車を用意させている。それを使うがいい」

「ありがとうございます」

「行ってまいります。お父さま」

「ルイズ、必ず帰ってきなさい」

「ハイッ!」

公爵に一礼してから出て行こうとするサイトを追いかけるルイズを見て、公爵は念を押した、公爵としての威厳ある顔ではなく、三人の娘を持つ父の顔で。

「かならず、帰ってきなさい」
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