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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔19
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頷いた。

「陛下はお前の力が必要だとおっしゃったのだね?」

「陛下は私の力が必要だとおっしゃってくださいます」

ルイズはきっぱりと言い放った。しかし、老公爵は首を振った。

「名誉なことだ。大変な名誉なことだ。
しかしならん、戦に参加することは認めぬ。断固として認めぬ。
お前は、あのワルドの裏切りの一件で自棄になっているのであろう? なれば婿をとれ。心も落ち着くだろう。二度と戦に行きたいなどと言い出さぬであろう。これは命令だ。違えることは許さぬ」

「ッ!!」

ルイズは目に涙をためて駆け出そうとしたが、それをサイトに遮られた。

「どいてサイト!」

「……」

サイトは無言で手を振り上げ、ルイズの頭をコンッと叩いた。

「狂児が、交渉というモノは先に熱くなった方が負けだって言っていたぞ」

「え?」

それだけ言うと、サイトは公爵の方を向いた。

「はじめまして、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、平賀サイトと申します」

恭しく一礼したサイトは、公爵と正面から視線を交えた。公爵は娘の使い魔を名乗る男に違和感を覚えた。

「メイジの実力を測るには使い魔を見ろというそうですね」

「何が言いたい」

睨みを利かせてくる公爵にサイトは、笑みを浮かべた。

「私で、試してはいただけませんか?」

「平民が、何を言って「…いいでしょう。わたくしが、お相手しましょう」…って、お母さま!?」

エレオノールが怒鳴り声を上げたが、カリーヌがサイトの申し出を受けた。

「カ、カリーヌ!?」

「準備があります。庭で待っていなさい」

公爵の声も聞かず、カリーヌは部屋を出て行ってしまった。

(戦士としての血が騒いだみたいだな…)

サイトはカリーヌの目に宿っていたモノを見抜き、やぶをつついて蛇を出してしまったかと少しだけ後悔した。


―――――――――――――――――――――――――――――


「サイト! お母さまに勝負を挑むなんて、自殺行為よ! やめなさい!!」

カリーヌが退室してすぐ、サイトも部屋を出て庭でカリーヌが来るのを待っていると、凄い形相のルイズが走ってきて叫んだ。

「じゃあ、戦争に行くのを諦めるか?」

「それは嫌。でも、あんた、お母さまがとっても強いって知らないからそんな余裕ぶっていられるのよ!!」

「マンティコア隊の元隊長だろ?」

「ふぇ?」

「公式の記録では男子ってことにしていたらしいが、実際は女子。ラ・ヴァリエール公爵との結婚を期に騎士団を引退して現在は公爵夫人をやっているが、未だに暇を見ては、騎士団の訓練の監督に来ているらしいな」

「な、なななな、なんで
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