オルフェノクの使い魔19
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!! あの総司令はなかなか見どころある青年だったが、なんなのだ、あの鳥の骨は!? 女王陛下も総司令殿も認めたというのに、いつまでも、同じことを何度も何度も…」
「あら? 戦に反対のあなたが何故、ド・ポワチエ将軍とお会いに?」
夫がさらに不機嫌になってきたことを敏感に感じ取り、妻はさりげなく話題をかえる。すると、さきほどまでの不機嫌さがなかったかのように笑みを浮かべた。
「イヤ、将軍ではなく、本当の司令官殿とな。あれは…」
――――――――――――――――――――
「わたくしはすでに軍務を退役した身、いくら女王陛下のお言葉とはいえ、わたくしはこの戦、参加するつもりはございません」
「あなたほどの方がいてくだされば、きっと士気が上がるでしょうに」
トリスティン城に呼ばれたラ・ヴァリエール公爵はアンリエッタの説得にも首を縦に振らなかった。
「陛下、戦う意思のないものを無理やり連れ出したところで無意味、むしろ、邪魔以外何物でもありませんし、無理強いしては、実力も発揮してはくれないと思うのですが」
突然の声に謁見の間にいたものがそちらを向くと仮面をつけた貴族がいた。
「ミズチ、来ていたのですか?」
「ええ、またアルビオンの方々から聞きたいことがありましたので」
恭しくミズチと呼ばれた貴族はアンリエッタに跪き、それから公爵の方を向いた。
「公爵、戦いに参戦しないというその意志を私は否定しない。むしろ、あなたのような方が残ってくだされば、私は安心してこの戦、指揮を執ることができる」
「指揮を執る? 何を言う、今回の戦の総司令はド・ポワチエ将軍のはず」
「ええ、私は表に出られませんので。将軍ご本人も了承済みですのでご安心ください」
落ち着いた口調で話すミズチに、公爵はこの男の深さを感じた。ここが謁見の間であることを忘れ、公爵はミズチに問うた。
「ミズチ総司令よ。貴殿に問う。なぜ、攻める必要がある。我々はあの忌々しい大陸を包囲・封鎖し、日干しになるのを待てばよいはず。そうすれば、向こうから和平を持ちかけてくるにきまっている」
「確かに、その策も悪くわないでしょう。しかし、それで一番被害にあうのは何か、おわかりか?」
「なに?」
公爵の目つきが鋭くなった。
「封鎖をおこなえば、平民に甚大な被害が出ることが容易に予想できです。
まず、間違いなく封鎖後に食べるものを失うのは豪遊に慣れた貴族。我慢を知らなすぎますからね。
そして、食べるものを失った貴族は何をするか、おわかりになるでしょう?」
「…平民から略奪」
「そのとおり、力にものをいわせて奪う。彼らレコンキスタのこれまでの活動を見る限り、平民を気にかけているような様子はない。間違い
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