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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔18
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!!!!!」

トライデントが振られた。すると、すでに支配されたリッシュモンの血が皮と肉を破り、肋骨を開き、内臓を露出させた。飛び散った血がミズチの唇にかかった。ミズチをそれを舐め取り、「まずい」とつぶやいた。

「あ、ああああああ!!!!!!」

「……」

リッシュモンが叫ぶ声をBGMに臓器を観察し、ときには手で触れてみたりしている。普段浮かべる薄い笑みではない笑みを口元に浮かべてリッシュモンの身体をいじるミズチにアニエスは恐怖を感じた。

(俺の知っているものと、変わらないな…)
「リッシュモンどの、これが、肝臓というものですよ。酒の飲みすぎですね。悪くなっているこっちは…」

引きちぎるように切り取った臓器をリッシュモンに見せて説明を聞かせる。聞いているかどうかわからないが、ミズチは気にしない。

「次は、こちらかな?」

その声と同時に眉の上あたりから円状に線が走り、その線の部分から上がふたを開けたかのようにはがれ、脳を露出した。

「…あ…あああ……」

脳を観察するミズチはリッシュモンの精神がイってしまったことに気づいた。

「しかたない。あとは一気に行きますか」

楽しい遊びが終わってしまった子供のような声を出し、ため息とともに指を鳴らすと、全身の皮が破けた。

「もう少し、生物の勉強をさせてもらおうかな」

そのまま、ミズチは自分の服に血肉が付いていくことを気にすることなくリッシュモンの身体を解剖していく。
その様子を呆然と見ていたアニエスは強烈な吐き気を感じ、その場で吐いてしまった。
そして、水を連想させる清楚な服を深紅に染めていく男を見て思った。復讐を誓った自分はだれよりも狂気を宿した人間だと思っていた。だが、目の前の男に比べれば、自分など、劣ると思わずにはいられなかった。

「アニエス銃士隊長、とりあえず、まだ、“これ”は生きているが、とどめを譲ろうか?」

そういって指差した先ほどまでリッシュモンだったものは、脳を露出した頭以外、人間の面影をかけらも残しておらず、ただの肉片の集まりでしかなかった。アニエスはそちらを見ることなく、普段の凛とした姿からわ想像できないほど弱弱しく首を横に振った。

「そうか…」

ミズチがトライデントを振ると、肉片は粉々に切り刻まれた。


翌日、裁縫糸で頭を縫いつけられたリッシュモンの生首が城の前に『この者、売国奴』と書かれた紙を張られて置かれていた。


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