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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔17
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の望みに答えた。服と仮面を用意し、その存在の名と設定を考え(これは結構楽しんだ)た。しかし、彼の望む、“陰”の司令官というイスを用意することは難しいと考えた。何故なら、“表”の司令官となるものにそれを納得させなければならないためである。だが、それを何とかしたのは、サイト本人だった。メリットを前面に出すことでデメリットを見失わせ、ド・ポワチエ将軍を傀儡に仕立て上げたのだ。
彼の手腕はそれにとどまらず、彼を嫌悪していたアンリエッタまでもを味方につけてしまった。
すでに彼の存在はこの国の深いところまで入り込んでしまったのではないだろうか。
マザリーニは、自分の観察眼を誇らしく思うと同時に、わずかな時間でそこまでやってのけた存在に恐怖を覚えた。


――――――――――――――――――――――――――――――


マザリーニと別れたミズチは、そのままアンリエッタの執務室へ向かった。
執務室の前には女騎士の姿があった。
短く切った間髪の下、澄みきった青い目が泳ぐ。ところどころ板金で保護された鎖帷子に身を包み、百合の紋章が描かれたサーコートをその上に羽織っている。

「アニエス銃士隊長、久しいな」

「ミズチ殿、女王陛下に何ようか?」

「例の件で必要な情報がそろったため、その報告にきた」

「早いな」

「私は優秀な情報源を確保しているからな」

「しばし待て」

アニエスはそう言うと、部屋の中へはいって行った。しばらくすると、アニエスが部屋から出てきた。

「入れ」

アニエスの開けた扉を潜り、中へと入る。

「失礼します」

中には書類と戦うアンリエッタがいた。

「なんでしょう?」

アンリエッタは書類から顔をあげることなく、用件を聞く。

「例の件での証拠となるであろう書類を持ってまいりました」

ミズチの言葉に初めてアンリエッタが顔を上げた。その顔は悲しそうなものだった。

「いつものことながら、早かったですね」

「ただ、これだけでは説得力に欠きますね。これを叩きつけても知らぬ存ぜぬを通されれば、そこまでです。現場を押さえてこれを突き付けれることができれば、いいのですが…」

「そうですか……
あの方が、何故、祖国を裏切るようなことを……私は、あの人に可愛がられました…」

「『将を射んとせば先ず馬を射よ』という言葉をご存じか?」

「なんです? それは」

「『敵将を射止めて討ちとろうとするならば、まず敵将の乗っている馬を射止めて動きを止めて確実に殺れ』というものから来た言葉で、わかりやすく言えば、国王に気に入られるためにまずは、国王が目に入れても痛くないほど大切にしている姫に懐かれようって考えがあったのではないでしょうか」

「……そう、だっ
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