オルフェノクの使い魔17
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きが」
シエスタは、自分の目の前にいるのが、皇子様だと思い出して慌てて謝罪した。
「いや、そのとおりなんだろう。ボクは今日、新しいボクに生まれ変わったんだ」
ウェールズの目から絶望が消えた。
「ウェールズ様…」
「“様”はよしてくれ。もう、ボクは皇太子ではなくなったのだ。ウェールズでいい」
「わかったわ。あたしはキュルケ、よろしくねウェールズ」
こういうときに即座に反応できるのが、キュルケである。
「ちょっ、キュルケ! あんた馴れ馴れしいわよ!」
「いいじゃない、呼び捨てでいいって本人が言っているんだから。それにダーリンなんて最初からずっと呼び捨てよ」
「そうだ、ミス・ヴァリエール、ボク自身が望んだことだ。気にしなくていい。君も、呼び捨てで構わないし、敬語じゃなくていい」
「わかりまし……じゃなくて、わかったわ」
――――――――――――――――――――――
「っというわけで、ウェールズも預かることになった」
「サイト殿はうらやましいのぉ、美女三人と同じ部屋で寝泊りとは」
「かわってもいいぞ」
「まことか!?」
目を血走らせ、先ほどまで座っていたイスを蹴り倒してサイトの目の前に飛び出した。その動きはとても老人とは思えない。
「ただし、うち二人は危険を感じたら、人外になって襲い掛かってくる可能性があるし、家主の気に触れたら爆破されるぞ」
が、続く言葉を聞いてさっきまでのがなかったかのようにイスに戻った。
「で、何の話だったかの?」
「我々二人を呼んだのは、ウェールズ皇太子のことだけではないのだろう?」
オスマンをじと目で見てから、コルベールはサイトに続きを促した。
「おまえたち二人にだけは知っておいてもらった方がいいと思ってな。オルフェノクが抱えている最大の問題を」
サイトの真剣な目に、オスマンとコルベールの穏やかだった目つきが変わった。
「このことは、話すべき時期がくるまで誰にも言わないで欲しい」
「誰にも? 君の主であるミス・ヴァリエールや、あのメイドやウェールズ皇太子にもかね?」
「ああ、あの三人にもだ」
「それほど重要なことを何故、わしらだけに話そうと思ったのか、聞いても?」
「二人なら、まず、口外する心配もないし、力が必要になったときに二人には協力して欲しいからな」
二人のうち、どちらかの喉がゴクンと鳴った。
「で、本題だ。俺たちオルフェノクの抱えている最大の問題は“寿命”だ」
「「寿命?」」
「そう、寿命だ。といっても、老化するわけじゃなく、肉体が崩壊するんだ。
俺の知っている学者やら、博士やらが出した見解だと人間からの急激な進化に肉体が耐えき
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