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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔16
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(ジェットスライガーがきたってことは…)

カイザフォンにサイドバッシャーを呼び出すコードを入力してみた。

「……」

五分待ってみたがこない。再び、入力してみた。

「……」

十分待ったがこない。今度は連続で五回ほど入力してみた。

「……」

やはりこない。

(ジェットスライガーがきたからってサイドバッシャーまであるわけないか…)

そんなことをやった後、アウストリの広場で訓練を行っていたサイトの下にシエスタが現れた。
その表情には決意の色が見えた。

「サイトさん」

「なんだ?」

「やっぱり、戦い方を教えてください」

「……」

「人を殺すとか、まだよく分かりません。でも、力があるのに何もせず、今までみたいに誰かの、何かの陰に隠れているのは卑怯だと思うんです」

「いいんじゃないか? 卑怯で」

「私がいやなんです。私は力を持った。なら、その力で私の手の届く範囲の人だけでも守りたいんです」

「俺は、戦わせるために力を与えたわけじゃないんだが」

「私が、力をそう使いたいって思ったんです」

シエスタはもう、覚悟を決めてしまった。ならば、自分はそれに応える義務があるようにサイトは思えた。

「言っておくが、厳しいぞ」

「はい!」


―――――――――――――――――――――――――


シエスタが戦闘訓練を開始して数日経ったころ、アンリエッタは寝室でワインをあおっていた。姫として政治のお飾りだったときと違い、女王となった今では、決断をしなければならない。自分が頷くだけでトリステインが変わる、そう思えてしまい、思ってしまうと飲まずにはいられなかった。
少し前までは、酒など食事のときに軽く飲んだり、パーティで付き合いで飲む程度であったのだが、今では当時の倍以上飲むようになってしまった。このまま行けば、その先にあるのは間違いなくアルコール依存症だ。
途中で飲むのをやめ、グラスに魔法で水を注いで煽った。
酒で真っ白な肌を桃色に染めたアンリエッタはベッドに倒れこんだ。
明日やらねばならない公務を思い出し、うんざりした気分になり、手が再びワインに伸びたそのとき、扉がノックされた気がした。
そのノックこそが、今宵起こる事件の始まりだった。


―――――――――――――――――――――――――


ドックオルフェノクは、トンファを叩き落され、足をはらわれて倒れるとさらに腹を踏みつけられた。

「何度も言うが、おまえの方が身体能力は上なんだぞ。それなのになんでおまえの方が倒れているんだと思う?」

「サ、サイトさんのほうが強いから」

「…当たり前だ。10年以上、オルフェノクとして戦ってきたんだぞ、俺は。つい最近なったばか
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