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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔16
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アンリエッタは、目に涙を溜めながら、頷いた。

「サイト、最期に2つ、頼みがある」

「普通、一つだろうが、この欲張りめ」

「ああ、そうだね。私は欲張りだ。一つ目は、きっと近い未来、トリステインはアルビオンと戦争になる。そのとき、君にトリステインに勝利の風を吹かせて欲しい」

「…わかった、約束する」

弱々しく出したウェールズの手をサイトは力強く握った。

「もう、一つは…君の手で、私を終わらせてくれ」

「ウェールズ!」

「ウェールズさま!?」

サイトとアンリエッタの声が重なった。

「最期は、君の手で、終わらせて欲しいんだ。友の手で、私を……いや、ボクを逝かせてくれ」

「……わかった」

サイトはミズチオルフェノクへと変化した。
アンリエッタが「やめて!!」と叫ぶ声が聞こえた。
ウェールズが、最期に見たのは、青白く輝く光だった。


―――――――――――――――――――――――――――


ウェールズは目を開けた。
そこには、自分を見つめるサイトがいた。その瞳には、戸惑いの色があった。

「死者の世界には、生前の知り合いがいるみたいだね」

気のせいか、今出した声は、普段の自分の声よりも高い気がした。

「生憎、ここは生者の世界だ。それと、ウェールズ」

「なんだい?」

「スマン…おまえを死なせたくなかった。だから、おまえを俺と同じバケモノにした」

「そうか…」

「それともう一つ…」

とても言いずらそうにサイトは視線をさまよわせてから、ゆっくりと言った。

「おまえ、女になった」

「は?」
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