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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔16
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、ウェールズさまって…」

三人の脳裏にここ数日間にあった話の内容が浮かんだ。
水の精霊の元から、死者に偽りの魂を与えるといわれている秘宝“アンドバリの指輪”を盗んだ一味の中に『クロムウェル』と呼ばれる男がいたことを。

「キュルケ! そのウェールズさまっぽい人はどっちに向かったの!?」

「えっと、あの道を進んでいくとあるのはぁ……首都トリスタニアかしら?」

ルイズは目を見開き、それからタバサの襟首を掴んだ。

「タバサ! お願い! あんたの風竜かして!!」

「…わかった」

続いてサイトに呼びかけようとそちらを向くと、ミズチオルフェノクはどこにもおらず、視線を上げると、灰色の龍が窓からルイズの部屋に入っていくのが見えた。おそらくライダーズギアを取りに行ったのだろう。
タバサの呼びかけに即座に現れたシルフィードにルイズたちは飛び乗った。すぐにミズチオルフェノクが飛龍形態で追いつき、シルフィードの上に乗ってサイトに戻った。

「ちょっと、なんであんたまで乗っているのよ」

「え、あの…」

いつのまにかシルフィードに乗っていたシエスタをルイズが睨んだ。

「シエスタならこの程度の高さから落ちても問題ないだろうが、戦力として使えるだろうから連れて行くぞ。
これを貸してやる。シエスタ、一回しか言わないから確り聞けよ」

一分一秒を無駄にできないと感じ、サイトはシエスタの生存率を上げるため、ギアを渡した。


―――――――――――――――――――――――――――


風竜が王宮にたどり着いたとき、すでに王宮は大騒ぎになっていた。前回同様にシルフィードが中庭に着陸すると、ルイズは近寄ってきたマンティコア隊の隊長にアンリエッタから与えられた権限を使って情報を聞き出した。
すでにアンリエッタはさらわれた後で、敵はラ・ロシェールの方へ向かったことからアルビオンの手のものであろうと判断されたらしい。
サイトは、行き先を聞くと、ミズチオルフェノクに変化して飛んでいってしまった。シルフィードも慌てて、その後に続いて城を飛び出した。
先行するミズチオルフェノクは、血の臭いをかいだ。そして、その先に立っている人間に牙をむいた。
その人間はギリギリのところでミズチオルフェノクに気づき、命を拾ったが、腕を食い千切られた。

「ウェールズさま!!」

そんな声が聞こえた気がしたが、サイトは荒っぽく砂埃を立てて着陸した。


――――――――――――――――――――――――


突然、現れた灰色の何かが、ウェールズの腕を食い千切り、砂埃を上げて着地した。
アンリエッタがウェールズの名を叫んだが、当の本人は腕を食い千切られたにもかかわらず、平然と顔色一つかえなかった。
砂埃が晴れた。


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