オルフェノクの使い魔15
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このウザッたいギーシュに付きまとわれるということだ。モンモランシーは必死になって頼むが、水の精霊は聞き入れなかった。
「水の精霊、今の話は少し置いておくとして、こっちの用事を済ませたいんだが、いいか?」
「なんだ? 単なる者よ」
「水かさが増えて困っているんだ。これ以上増やすようなら、あんたを退治しなきゃならない。何らかの事情があるなら、助けたい」
サイトにとって水は何にもかえがたい、大事で大切な存在だ。その精霊を退治するのは避けたかった。
サイトは湖に踏み出した。誰もが落ちると思ったが、サイトは平然と水面を歩き、ミズチオルフェノクへと変化した。
後ろでモンモランシーが驚いているようだが、今はどうでもいいことだと切り捨てる。
「…オルフェノク」
水の精霊の平坦な声に驚いたような色が混じった。
岸から離れたところで、二人は対面した。水の精霊は、手を伸ばしてミズチオルフェノクの顔に触れた。それから身体中を撫でていき、左手の甲にあるルーンに気がついた。
「…それに汝担い手か、…ならば、信頼してもよいかもしれん」
「……」
何故、オルフェノクの事を知っているのか気になったが、その話は後にしようと考え、黙って水の精霊の話に耳をかたむける。
「実は、我の秘宝が、汝の連れの同朋に盗まれた」
「秘宝?」
「そうだ。我が暮らすもっとも濃き水の底から、その秘宝が盗まれたのは、月が三十ほど交差する前の晩のこと」
(月が三十交差する…ニ年半前か)
「まさか、こうやって水の範囲を広げていけば、いつかは秘法のある場所にたどり着くだろうってことで広げているんじゃないだろうな?」
「その通りだ」
あっさりと肯定した水の精霊に、ミズチオルフェノクは呆れと羨ましさを感じた。呆れはあまりに気の長い話だからで、羨ましさはそれができるだけの寿命を持っているからだった。
「…その秘宝、俺が探す。
この世界が水で覆われるのはとても魅力的だけど、個人的理由でこの世界の生態系を壊されても困るし、この世界にノアみたいに箱舟を作れるやつがいるかどうかも分からんから。
で、どんな宝だ?」
「『アンドバリ』の指輪。我が共に時を過ごした指輪。死者に偽りの生命を与えるもの」
「『アンドバリ』の指輪だな。犯人の特徴は?」
「単なる者の特徴などわからぬ。だが確か、固体の一人がこう呼ばれていた。クロムウェルと」
「わかった、期限は?」
「汝の寿命がつきるまでで、かまわぬ」
「おいおい、オルフェノクの事を知っていてそんなこと言っていいのか?」
「かまわぬ」
「了解した」
ミズチオルフェノクは、水の精霊に背を向けたが、一歩踏み出したところで振り返った。
「すまない
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