オルフェノクの使い魔15
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うか分からず、もし見つからなかったらという恐怖と戦ったこの5年に比べれば、全然問題ない。
「タバサ?」
「ッ!?」
声に驚いて振り向くと、寝ていたはずのキュルケがいた。キュルケは、そっとタバサの隣りに座り、タバサをぎゅっと抱きしめた。
「ッ!」
「泣くんなら、思いっきり泣いた方がいいわ。あなたはそれだけ頑張ってきたんだから。
タバサ…一人で良く頑張ったわ」
「ッ〜〜〜〜!!」
キュルケの優しい声が、優しく頭を撫でてくれる手が、母を思わせて、タバサはキュルケの胸に顔をうずめて、普段の彼女からは想像もできない声で泣いた。
母性にあふれた優しげな顔で小さな親友を抱きしめながら、キュルケはサイトに少しだけ嫉妬した。ほんの数ヶ月前に知り合った人外の男が、自分より頼られている。親友だからこそ、巻き込みたくないと思ったのだろうけど、なんだか釈然としなかった。
――――――――――――――――――――――
日課の夜の訓練を行っていたサイトは、タバサの元に飛ばしていた水からタバサの様子を知り、笑みを浮かべた。
「お姉さまが泣いているのね」
「仲間の前じゃ泣かないように頑張っていたみたいだが……
さすがキュルケだな、ちゃんと親友のことを分かっている」
「お姉さま、いい友達ができてとっても幸せ者なのね♪」
「だな」
まるで自分のことのように笑う蒼髪の少女に相槌をうつ。
「ところでシルフィード」
「きゅい?」
「今度から人の姿になるときは服も用意しような」
「きゅい♪」
自分の上着を着せてやってからサイトは訓練を再開した。
―――――――――――――――――――――
「ねぇ、タバサ」
「?」
「サイトのこと、好き?」
キュルケに背中を預けて泣いた余韻でボーっとしていたタバサが振り返った。
「好きなの?」
キュルケはもう一度、同じ質問をした。
「……(コクン)」
「そっか、タバサもサイトのことが好きなのね…」
あの、本の虫で異性になんて何の興味も示そうとしなかった親友が、そういうことに興味を示したことを嬉しく思えた。
「でも、私もサイトのこと好き。今までの好きとは違う…これが、本当に愛しているって気持ちなんだと思う。だから、タバサであってもサイトは譲れない」
「……大丈夫」
「なにが?」
「私はあのヒトのものになることは決定済み、契約でそういうことになった」
「ハ?」
キュルケの目が点になった。
「私の目的を手伝ってもらう対価として、私をあげると約束した」
「……」
「私はもう、兄さまのもの」
「に、兄さま?」
「なって欲しい
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