オルフェノクの使い魔12
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痺れを切らして、ルイズは無理やり振り向かせた。
「…戻ってきた報告は?」
「ただいま」
「おかえり」
上機嫌に返したルイズを見てため息をついてからサイトは呟いた。
「で、ミコトノリはできたのか?」
「ッウ……えっと…ほら、私、あんたがいなくなってから体調崩しちゃって……そういう大事なことは、健康を取り戻してからぁ……」
「つまり、適当な理由をつけて、まだ、できてないんだな?」
「それは…その…」
「ったく…」
――――――――――――――――――――――――――
「サイト君」
「ん?」
ガソリンの試作品が完成し、エンジンのテストも成功したため、後はガソリンを必要な量を作るだけとなり、それと平行して弾を作るため、研究室で作業をしているサイトを、コルベールはじっと見据えて声を出した。
「君はあの『竜の羽衣』をどうするつもりかね?」
「アシだな。自力で飛ぶと疲れるし、あとは武器かな」
「君は、これを人殺しの道具にするのか?」
「もともと、そのための道具だし」
水を操作したり、研究室に置いてあった道具を使って火薬の量やサイズなどをきめ細かく書き出しつつ、サイトは答えた
「君はそれについてなんとも思わないのか?」
「いい加減、何が言いたいのか、はっきりしてくれ」
「人を殺すことに何の罪悪感を覚えないのか?」
「…今更だな」
「今更?」
「俺のいた世界じゃ人間は一万人もいないんだ」
「……」
「人類オルフェノク化計画ってプロジェクトがスタートしてな。俺はその最前線にいた。
前にも話しただろ? オルフェノクは、人間をオルフェノクに変える力があるって。オルフェノクになれる人間っていうのは、結構少ない。オルフェノクへと変化させるエネルギーに耐えきれず、死んだ人間が何人いたかなんておぼえてない。
それに、打倒オルフェノクに燃えるレジスタンスになった人間の抹殺も命じられていたからな」
「君は…」
「だから今更だ。知らない人間を殺したところで、なんとも思わない」
そういうと書き出した紙を手に、サイトは立ち上がり、最後に「できたら呼んでくれ」と言って、出ていった。
「知らない人間?」
サイトの言葉の中にあったその一言がコルベールは気になった。
その数日後、ラ・ロシェールにてアルビオンの策にはまり、トリステインは一方的な宣戦布告と侵略を受けることになる。
そして、その戦の火はシエスタの住むタルブの村にまで飛び火するのだった。
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