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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔12
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な)

自嘲気味にサイトは笑った。
その姿は、普段の何があっても揺るがない強者の姿ではなく、どこか、寂しげに見えた。
そして、女の直感なのだろうか、サイトがウソをついていないけどウソをついている、そう三人は感じた。

「サイトさん!」

「どうした?」

シエスタは、思わず大きな声を上げ、サイトの手を取った。少し恥ずかしかったが、そうしなければサイトがいなくなってしまいそうに思えた。

「父が言っていたんですけど、遺言があるそうです」

「遺言?」

「はい。遺言って言っても、死ぬ間際に言ったんじゃなくて、ひいおじいちゃんに毎日のように言っていたのをおじいちゃんから父が受け継いだらしいんですけどね。
あの墓石の銘を読めるものがあらわれたら、その者に『竜の羽衣』を渡すようにって」

「いいのか? 形見だろ?」

「管理も面倒だし、大きいし、拝んでいる人がいるみたいだけど、今じゃ村のお荷物だそうです」

サイトはもう一度、『竜の羽衣』を見上げた。

「このゼロ戦、ありがたく、頂戴する」

「ぜろせん? 何それ?」

「こいつの本当の名前だ」

そう言ってから、サイトは再び手元にある日記を開き、ペラペラと破けないよう細心の注意をはらいつつ、凄い速さでめくっていく。そして、ある部分で手が止まった。

―――×月×日
我が生きている間にこの異国の地から脱することができないかもしれない。そう思うと不安を覚える。
我が力にて、仲間を増やそうとするも、この異人たちには怪の力に耐える力があるらしく、平民、そして貴族、どちらにも効果がなかった。

(…確かに、ウェールズはオルフェノクのエネルギーを受け付けなかった……だが、何故だ?)


――――――――――――――――――――――


キュルケはサイトを見て、あることに気がついた。あまりに自然であるため、気づくものはそうそういないであろうことだが、彼に興味を持ち、ずっと見ていたキュルケだから気がついた。
今、目の前でタルブの村の人々から歓迎されているが、サイトは相手が近づく気配をみせると、さり気なくとても自然な動作でその相手から距離をとる。そのため、注意深く見ていなければ、気づけない。実際、気がついているのは、キュルケだけのようだ。
サイトには壁がある。
特定の人間を絶対に入れることのない壁。その特定の人間が近づくと、サイトはとてもさり気なく離れる。その動きはとても自然で、とても慣れた動きだった。
その壁を超えることの許される人間がいる。
その人間にも、近づくことのできる距離がある。キュルケから見て一番近くまで近づけているのは、タバサだ。おしらく、自分とシエスタはその次くらいだろうか? ルイズは壁の中に入れてはいるようだが、自分ほど
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