オルフェノクの使い魔11
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、それ?」
「『始祖の祈祷書』。姫さまの結婚式で、選ばれた巫女が、これを持って式のミコトノリを詠みあげるっていう習わしがあって」
「オヒメサマが、おまえをその巫女に指名したと」
「そういうこと、どうしよう…何にも思い浮かばない。ああー!! もうッ!!」
頭をかきむしって叫ぶルイズの隣りに座り、手元から『始祖の祈祷書』とやらを奪い、中を見てみるが、どのページも真っ白で何も書いてなかった。
「大変そうだな」
「大変なの! だから、話し掛けないで!!」
つい先ほど、突然、オスマンに呼び出され、ミコトノリの件を何の前置きもなく、突然言いわれたルイズは、無理やり『始祖の祈祷書』を渡され、混乱したまま、ミコトノリを考えたため、頭の中に溜まっていたイライラをサイトに向かって吐き出してしまった。
ルイズは、しまった! と思い、慌てて言い訳しようとしたが、それよりも早く、サイトは、立ち上がった。
「邪魔なら、式までの間、外で寝てやる。そうすれば、ゆっくりと考えられるだろう?」
そういうと、『始祖の祈祷書』をルイズに返してさっさと出ていった。彼女は、あわてて、手を伸ばすが、既に遅く、サイトの姿はなかった。サイトは別に怒ったわけでもないのだが、ルイズにはサイトが怒っていたかのように見えた。
「…違うの…一緒に考えて欲しかったのぉ……」
ポツリと呟いたルイズの声は、一人になった部屋に響いて消えた。
―――――――――――――――――――――――――――
ルイズの部屋を出たサイトは、城壁の上でボーっと月を見ていた。
「兄さま」
「タバサか?」
「……(コクン)」
「どうした?」
「いるのが見えたから…」
フライで飛んできたらしいタバサはサイトの隣りにちょこんと座った。
「どうしてここにいるの?」
「オヒメサマの結婚式でルイズが、ミコトノリとかいうのを詠まなきゃならないらしくて、いいのがうかばないそうだから、言うからしばらく一人にしてやることにした」
(……ということは、兄さまは今日寝る場所がない? 部屋に呼べる? ……呼ぼう!)
タバサがグッと小さな拳を握り、サイトに話し掛けようとしたとき、それより早く、横から声がかかった。
「あら? じゃあ、ダーリン、暇なの?」
「今度はキュルケか…」
タバサと同じく、フライで飛んできたらしい、紙の束を抱えたキュルケが、サイトの隣りに立った。
「そ、あ・た・し♪ で、暇なの?」
「暇と言えば、暇だな」
「だったら、ちょっとこっちに来てくれない?」
そういうと、サイトの腕を引いて、城壁から飛び降りた。レヴィテーションで落下速度を殺し、着地するとグイグイと引っ張って
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