オルフェノクの使い魔10
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いいから!」
「……」
今まで、ルイズは着替えるとき、サイトがどこを見ていようと気にしていなかったのに、今になって突然、こっちを見るなと言い出した。もともと見てはいないのだが、とりあえず、窓に腰かけ、外を眺めていることにした。
それだけではなかった。
食堂でも、変化が現れた。
いつものようにサイトが床においてあるはずの食事にありつこうとしたが、それがどこにもない。
「今日からあんた、テーブルで食べなさい」
「?」
「いいから。ほら、座って。早く」
よく分からないため、とりあえず御主人様の気まぐれだろうと考え、サイトは大人しく隣りに座った。
「おい、ルイズ。そこはボクの席だぞ。使い魔を座らせるなんてどういうことだ?」
「座るところがないなら、椅子を持ってくればいいじゃないの」
「ふざけるな!! 使い魔を座らせて、ボクが椅子を取りに行く? そんな法はないぞ! おい使い魔、どけ! そこはボクの席だ。そして、ここは貴族の食卓だ!!」
マリコルヌは思いっきり胸をそらせて、精一杯虚勢を張った。ちょっと震えている。ギーシュを倒し、あのフーケを捕まえたサイトは、絶滅したといわれているハーフドラゴンだということになっているのだ。
「食事のときに騒ぐな」
サイトがカップに注がれた紅茶に口をつけてから、面倒くさそうにマリコルヌを見て言った。サイトとしては、ただ見ただけのつもりだったが、マリコルヌからすれば、睨まれた気がした。
「ヒッ」
ため息混じりに指をパチンと鳴らすとサイトのカップから紅茶がフワフワと浮かび上がり、そのまま、誰も座っていない椅子のところまで飛んでいき、椅子を下から持ち上げて戻ってくると、マリコルヌの前にガタンと落とした。
「これでいいだろ?」
(やはり、人間体での精密操作は甘さがあるな)
静かに下ろすつもりだったのに最後の最後で操作が雑になったことに一瞬だけ眉をひそめ、マリコルヌが、カクカクと人形のように首を縦に動かしたのを見て、サイトは食事を始めた。
隣でルイズが満足げな顔をしていた。
―――――――――――――――――――――――――
朝食を終えたサイトは授業に向かうルイズと別れ、コルベールの研究室にやってきた。
「実験の協力を頼みたい」
これが、研究室に入ったサイトの第一声だった。
「実験? どのようなものだね?」
「これとこれを使った実験だ」
そう言ったサイトの手にはカイザフォン(前回のことをふまえてカイザギアは、常にサイトが持っていた方がいいということでオスマンから譲られた)とデルタフォンが握られていた。
「『呪われし衣』ときみがアルビオンから持ち帰ったそれを使った実験? 興味深い。ぜひとも協
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