オルフェノクの使い魔10
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し終えたところだった。
「遅かったわね」
「そうか?」
サイトはルイズの隣りに腰を降ろした。アンリエッタのほうを向くと、件の手紙を手にはらはらと涙を流していた。
「あの方は、わたくしの手紙をきちんと最後まで読んでくれたのかしら? ねぇ、ルイズ」
アンリエッタはすがるようにルイズを見た。それがなんだか、自分が責められているようにルイズには感じた。
「はい、姫さま。ウェールズ皇太子は、姫殿下の手紙をお読みになりました」
「ならば、ウェールズさまはわたくしを愛しておられなかったのね」
サイトは違うと、言いそうになったが、何とか堪えた。ウェールズはアンリエッタを愛していた。だが、その愛は、妹を想う兄が持つ愛情に似たものだったことに彼は気づいていた。だから、彼はアンリエッタとのことを恋愛ゲームと呼んだ。
恐らく、自分は心の底からアンリエッタという少女を愛することができないと察していたのだ。
このことをアンリエッタに言ったところで彼女が理解できるとは、とても思えなかった。だから、サイトは言わない。熱が冷め、冷静になって自分から気づくべきことだと判断したのだ。
「わたくしより、名誉の方が大事だったのかしら…」
「それは違う」
「え…」
今回ははっきりと言い切った。
「ウェールズは生きようとしていた。戦争の本当の勝者を理解して」
「戦争の本当の勝者?」
「生きているものが勝者。あいつは生きるために戦うと、そして、勝者となって会いに来ると、友として俺に誓った。あいつが生きる道を選らんでいたことだけは本当だ」
「……とも?」
「俺とウェールズは友達になった……救えなかったがけどな」
「……」
それから、アンリエッタは二人を労い、せめてもの報酬として水のルビーをルイズに与えた。
「オヒメサマ、これからどうするんだ? アルビオンの位置からして次に戦争を吹っかけられるとすれば、このトリステインだ」
「……」
話を終わりにして退出しようとしたとき、サイトが思い出したかのようにそう言った。
「そこで、相談があるんだが…」
「え?」
「内乱で生き残った王党派が、トリステインに逃げ込んだ可能性が高い」
「……」
「連中は、レコン・キスタ以外で、一番、アルビオンを知る者たちだ。道案内役にはもってこいだと思うぞ」
サイトはアンリエッタにそっと耳打ちして、部屋を退出した。
サイトが出て行ってすぐにアンリエッタは、兵を呼んで命令を下した。
――――――――――――――――――――――――
アンリエッタのもとに件の手紙を届けた翌日から、ルイズの態度が変わった。
「向こうむいていて」
「?」
「
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