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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔10
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を終え、帰還しました。姫殿下に取り次ぎ願いたいわ」

「ラ・ヴァリエール公爵さまの三女…なるほど、目元が母君そっくりだ。
しかし、用件もわからぬまま取り次ぐわけにはいかん。こちらの首が飛んでしまう」

困った声で、隊長が言った。

「だったら、確認を取れ、今すぐに。オヒメサマがYesと答えたなら、通せばいいし、Noと答えたなら、追い返すなり、つかまえるなりすればいい。違うか?」

ようやく体力が戻ったサイトがルイズの隣りに立って、そう言った。
隊長は、血まみれのサイトの姿を見て、苦い顔つきになった。
どこの国の人間だかはわからぬが、貴族でないことは確かであった。

「無礼な平民だな。従者風情が貴族に話しかけるという法はない。黙っていろ」

睨みつけてくる隊長を無視し、サイトは何かに気がついたように宮殿の入り口を指差した。

「ルイズ、きたぞ」

「へ?」

全員がそちらを向くと、鮮やかな紫のマントとローブを羽織ったアンリエッタが駆け寄ってくる姿が合った。

「ルイズ!!」

「姫さま!!」

二人は、一行と魔法衛士隊が見守る中、ひっしと抱き合った。
それから一行は、アンリエッタに連れられ、ルイズとサイトだけがアンリエッタの居室に呼ばれ、キュルケたちは謁見待合所に送られた。
サイトは、居室に行く前にメイドに脱衣所に連れてこられた。血を落とせということらしい。
サイトは大人しく従い、脱衣所で服を脱ぐ。脱いだ服を控えていたメイドが洗うために持っていこうとしたが、自分で洗うからおいておけと言い、服を抱えて風呂場へと入って行った。

「さてと…」

オルフェノクとなり、両手を前に出して意識を集中させる。身体にべったりとついた血と服が吸い込んだ血が集まり出した。
気づいていた人もいるかも知れないが、未だにサイトの浴びた血が紅いのは、実際おかしい。本来なら、すでに乾いて真っ黒になっているはずなのだ。それをサイトが意識を失っている間も水の状態を維持していたのだ。

「……」

ウェールズの血は、二つに分かれ、それぞれ少しずつ形を作っていく。
片方は黒いリングに、もう片方はルビーよりも紅い小さな石になり、二つがくっつき、一つの指輪となった。細かな細工などはまったく無い黒いリングと深紅の石で構成された指輪は禍々しくも美しかった。

(血液の物質に利用して形を形成する……能力の応用として試してみたが、どうやら上手くいったみたいだな)

身体を清めて完成した指輪をはめ、サイトはルイズが待っているであろう居室へと向かった。


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サイトが居室に入ると、ルイズが、サイトがワルドを倒したところを(ルイズは途中経過を知らないため、かなり省いて)話
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