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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔10
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は頷いた。子どもでも知っている。火、風、水、土の四つである。

「その四大系統に加え、もう一つの系統が存在する。始祖ブリミルが用いし、零番目の系統」

「零番目の系統…まさか……虚無?」

「そうだ。では、ミス・サウスゴータ。あなたに『虚無』の系統をお見せしよう」

クロムウェルは、杖を抜くと、フーケが今まで聴いたこともない呪文を詠唱し、杖をウェールズに振り下ろした。
すると、ウェールズの死体が、まるで時間が戻っていくかのように変わっていく。青白かった顔が、みるみるうちに生前の面影を取り戻していく。

「おはよう、皇太子」

クロムウェルが呟くと、ウェールズは微笑み返した。

「久しぶりだね。大司教」

「失礼ながら、今では皇帝なのだ。親愛なる皇太子」

「そうだった。これは失礼した。閣下」

ウェールズは膝をつくと、臣下の礼を取った。

「きみを余の親衛隊の一人に加えようと思うのだが。ウェールズ君」

「喜んで」

「なら、友人たちに引き合わせてあげよう」

クロムウェルは歩き出した。そのあとを、ウェールズが生前と変わらぬ仕草で歩いていく。
フーケは呆然と、その様子を見つめていた。
ワルドは、今の魔法に興味などないといわんばかりに背を向けて再び、探し物を始めた。
このあと、フーケがいくら話し掛けようとも、礼拝堂をすべて調べ終わるまで、ワルドが答えることはなかった。


―――――――――――――――――――――――――


トリステインの王宮の上空は現在、飛行禁止令が出され、門をくぐる人物のチェックも激しかった。
そんななか、一匹の風竜があらわれ、警備の魔法衛士隊の隊員たちは色めきたった。
本日警備をしているマンティコア隊はいっせいに風竜にめがけて飛び上がった。風竜の上には五人の人影があった。
隊員たちは、現在飛行禁止であることを告げたが、風竜はそれを無視して王宮の中庭に着陸した。
桃色がかったブロンドの少女、燃える赤毛の長身の女、そして金髪の少年、めがねをかけた小さな女の子、そして黒髪の少年だった。黒髪の少年は上から下までべったりと紅い血に濡れていた、最初は少年が出したものかと思ったが、少年の様子を見ると、別にそういうわけでもないようだ。

「杖を捨てろ!」

風竜を取り囲み、杖を構えた隊員たちから一歩前に出たごつい体のいかめしい髭面の隊長が大声で命令した。
侵入者たちは一瞬、むっとした表情を浮かべたが、王宮であることを思い出し、大人しく杖を手放した。
それから桃色ブロンドの少女がとんッと軽やかに竜から飛び降りて毅然とした声で名乗った。

「わたしはラ・ヴァリエール公爵が三女、ルイズ・フランソワーズです。怪しいものじゃありません。姫殿下より仰せつかった密命
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