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オルフェノクの使い魔
オルフェノクの使い魔9
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ころだが、近くに杖は見当たらない。

(サイトは水を操れるのか? それならば、私の体を流れている血も理解できる)

「ック!!」
(せめて、もう少し水があれば…)

そのとき、ミズチオルフェノクの脳裏にすぐに調達でき、アルビオンに影響を与えずにすむ“水”の存在に気づいた。

(何を考えているんだ、俺は!!)

その思考を振り払い、迫り来るワルドたちに意識を集中させる。

「サイト」

「なんだ…」

「私を使え」

「なッ!?」

「きみには、水を操る力があるのだろう? この体を流れる血も君が操っている。違うか?」

それはミズチオルフェノクの思考が導き出した策でもあった。

「……」

黙秘するミズチオルフェノクの名をもう一度、力を込めて呼ぶ。

「サイト…」

観念したようにミズチオルフェノクの頭がわずかに縦に動いた。

「もう少し待てば、ルイズが戻る」

「私という、足枷をつけたままでは、それまでもちそうにない。違うかね?」

「……」

ミズチオルフェノクは、ウェールズを守るように立っている。そのためにワルドの攻撃を何度もその身体で受け止めている。オルフェノクとして並みより少し高いくらいの防御力しか持たないミズチオルフェノクは、敵に悟らせないため、毅然としているが、結構なダメージを受けているのは確かだった。

「きみのためなら、きみが助かるのなら、この命惜しくない」

「俺に初めてできた友を殺せというのか?」

「私は、もう死んでいる。最期に友に会えたこと、とても嬉しく思う。これ以上、友が苦しむ姿を見たくないのだ。頼む、私を使ってくれ。サイト」

「………あとで、うらみごとはいくらでも聞く」

そういうとミズチオルフェノクは、指を鳴らした。すると、半透明の牙が二本現れ、ウェールズの胸に刺さった。だが、オルフェノクエネルギーを注入するための牙が二本とも砕けた。

「なに!?」


(どういうことだ!? エネルギーの注入で失敗するだなんて聞いたことがないぞ)

「何をしようとしたのかは、よくわからなかったが、生かそうとしてくれたんだろう? だが、私にはそれはあわなかったようだ」

「……っく!!」

もう一度、オルフェノクエネルギーを注入しようとするが、結果は先ほどと同じだった。

「もう手はないのだろう? さぁ! やってくれ!!」

「…ッ!!!!」

ミズチオルフェノクはトライデントを振り上げ、前に突き出した。それと同時にウェールズの体から、血が噴出した。噴出した血は龍となり、分身の一つを消滅させた。

「さらばだ、我が友……」

仰向けに倒れたウェールズの顔は満足げな笑みがあった。ミズチオルフェノクの眼から一筋
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